王立学園ー7
秋の王国祭のステージ利用について、僕はキザクラ照会を通じて、三十分を三つ押さえた。商会がスポンサーとしてお金を出したら、三つとも最後の方を並べて抑えることができた。
三十分なので、それぞれ五曲くらいできるといいな。
僕は引き続き曲を思い出すのと譜面に落とし込む作業を続けていく。
そこまでやれば、あとはメンバーがアレンジするようになっていたので、楽だった。
今後は、昭和のアイドルでも真似していこうかな。なんて考えながら、ジャンルを広げていった。
僕はキザクラ商会に来ている。それは、グッズを作るためだ。
コンサートが終わった後に、会場の外で販売する。簡単なものでいいと思っていた。
例えば、うちわとかタオルとか。キーホルダーのようなもの、この世界の人たち使うかな? ブレスレットもいいな。
などとアイデアを挙げていく。それなりに安く作れて安く買えるものを考えていく。グッズの種類が決まってきたところで、ラノがいう。
「えっと、これらの商品ですが、何を描きますか? 例えば、似顔絵とかですか?」
「バンド名とかだよね。後、アイドルだったら、その人の名前とか。推しのメンバーのグッズを買ってもらいたいんだよね」
「わかりました。では、バンド名と、アイドルのグループ名、アイドルの名前は本名でいいですか? 偽名を使うなら教えてください」
と。僕は、苦手だからと後回しにしてきたことをしないといけないかとため息をつく。僕は名付けのセンスが決定的にない。なので、
「それぞれのメンバーに決めてもらえればいいんじゃない?」
となった。
最終的に、バンドは「重厚な旋律」。うん、冒険者パーティっぽい。こっちの世界のセンスかな。
一人アイドルは偽名でアイラ・フルール。四人グループは「四妖精の舞」うーんやっぱり冒険者パーティ的なセンス。妖精じゃないしな。メンバーは「アイリス、サーシャ、シルフ、ルージェ」となった。偽名だ。
まあいいや。その辺は本質ではない。歌とダンスと演奏が受け入れられてくれればと思う。
さらに僕はどうしても開発しないといけないものがあった。ペンライトだ。これを無くしてアイドルは語れまい。とはいえ、全く目処が立っていなかった。
というか、やり方によっては簡単に開発できたのだが、悩んでいたのだ。ペンライト。電気が使いたいと思っていた。だが、電気を使うと全く新しい魔法陣が必要になる。
電池があるから魔法陣さえできれば電気を生めると思うけど。たとえ、魔法陣ができたとして、そんな高級なものをペンライトに使うか。しかも、作っていないから確認のしようもないが、もし電気の魔法陣を悪用されたら、例えばスタンガンみたいに使われたら、目も当てられない。これはまあ、出力の問題で、そこまで強くする必要はないし、してもピリッとするくらいだろう。作りたいでも作れない。電気の魔法陣か。やっちゃうか、どうするか。
簡単に今あるものを利用して作る場合はどうするかというと、火の魔法陣はすでにランタンで発売してしまっているので、それをペンライトに使う。この場合は新しいわけではないので出回ってもあまり影響はないが、やっぱり魔法陣を使うと高くなる。
それに、火を使うと、火事の危険性が出てくる。会場であっても、家に持って帰っても、これが原因で火事になっては困る。一番いいのは、電池と直結して光るものがあれば。
さらに、ペンライトは振り回すことが前提。ということは、ガラスで作るとちょっと危ない。プラスチックが必要になってくる。それを作っちゃう?これもこの世界にないものなので、出回ったらハレーションが起きる。
「ペンライトを作りたいんだけど、どうやって光らせたらいいと思う?」
京子ちゃんに相談してみる。
「やっぱり電気じゃないの? 電気の魔法陣を作って、それで電気をフィラメントに流せばいいんじゃないの?」
「いや、そうなんだけどさ、そもそも電気魔法ってさ、できる?」
「うーん、静電気みたいに毛糸の服を擦り合わせるようなのをイメージして、電子を飛ばせばいいんじゃない?」
「そう言われるとできるような気がしちゃうかな。でもね、電球ってさ、フィラメントを燃やさないようにあの中真空だったり不活性ガスを入れるんだけど、めんどくさいじゃん。真空を保つんだよ?できる?」
「まあ、難しいから真似されずに済むんじゃない?」
うん、一理あるけど。
「どうやって真空をつくろうか」
「電球を作った後に、浄化魔法みたいに空気自体を除去しちゃえば?」
なるほどね。
「でも、電球かー」
と悩む。
「そもそも、光魔法じゃダメなんですか?」
と、かなで。
「発想としては簡単なんだけど」
と、言って間を開け、
「光ってなに?」
と聞いてみる。
「光ですか? 太陽の眩しいやつ」
とは、かなでの意見。
「炎とかの眩しいやつ」
は、京子ちゃん。だよねー。
「将来的に魔法じゃなくても電気を生み出せそうじゃん、磁石とコイルで。だから光は置いておいてもいいかなと思うんだけど」
「でもあったら便利だよ。考え方としてはコンロと同じじゃない? あれだって、ガスの配送システムがあればいいだけだし」
「なるほど、そりゃそうか」
「それとケースはどうしたらいい? ガラスは割れるのが怖いんだよね」
「プラスチックじゃダメなんだよね、この世界的に」
「うん」
と答える。
「じゃあさ、紙を硬くするとか、金属に穴を開けるとかでいいんじゃない?」
「そうだね。紙を考えるか。軽いしぶつかっても怪我がなさそうだし」
光の部分が解決しない。
仕方がない。あまり表に出して相談したくなかったけど、母上に聞くか。
と、まあ、簡単に解決した。ただし、ペンライトが使い捨てになったけど。これはこれで早く解決するので、一時凌ぎとして採用だ。
「母上、ちょっと相談があるのですが」
母上はスタジオにいる。今回のイベントの総監督をしたいと言ってきたので任せることにしていた。
「何か光るものを探しているのですが、夜間にしばらく光り続けるような。もしくは、そういう光を生む方法を知りませんか?」
「ひかり茸かひかり苔でよかろう。洞窟に行けば生えているぞ?」
だが、コンサート会場で使うには心配なこともある。
「匂いは出ないのですか?」
「無臭だ」
とのことで、紙のつつにこれを詰めればいいか。終わったら回収だな。紙に耐水性を持たせないといけないけど、ロウでも塗ればいいだろう。
あとは茸もしくは苔の採取か。これは冒険者に頼もう。知っている冒険者が二人いるし。と、キザクラ商会から指名依頼を出しておく。
冒険者ギルドにて
「クラさーん、ゴンタさーん」
と、受付の女性が二人の冒険者に声をかける。
「お二方に指名依頼が入ってますよー」
二人は受付まで行き、聞く。
「わしらに指名依頼っていったいどこの誰で、何をさせたいのだ?」
「常時依頼の魔獣討伐専門のお二人にはちょっと違うような気もするんですが、依頼主はキザクラ商会で、依頼内容は王国祭の朝に、ひかり茸を大量にですって。なければひかり苔でもいいそうです」
「そうか。受けるぞ」
「えっと、報酬とか聞く前に決めちゃうんですか?」
「まあ、報酬はいいだろう、キザクラだからな。ただ、大量っていうのがわからないから後で聞きにいってくるわ」




