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王立学園ー3

 さてと時間を学園入学翌日まで戻す。僕たちは登校して門をくぐり庭の中を歩いて校舎へ向かう。


「今日から授業だね」


 と京子ちゃん。


「ね、いきなり武術だけど、今日は何をするのかな」


 と僕。


「学園の制服のままで武術をするのでしょうか」


 とかなで。


「確かにこの制服はこの国の騎士服を元に作られているようですが、体操服などなかったですよね」


 とミカエル。


「制服汚れちゃうかな。そういえば、グレイス君の家の騎士服、変わったよね。コートタイプでかっこいいけど、動きづらそう?」

「それがね、そうでもないみたい。夏服と冬服とあるんだけど、比較的軽く作られているみたい。それにね、足元まで隠しているでしょ? ステップが見えないせいで相手は動きを読みづらいんだって。何よりいろんな物を隠せるのがいいってさ」


 と僕。学園の制服もそのコートタイプがよかったな。色々隠せるし。そんな話をしていると、後ろから声がかかる。


「おはよー、みんな」


 とアンドリュープラス三名のグループ。昨日の帰り際に敬語等はなしにしてフランクに話すことで合意している。うちの二人は平民であるにもかかわらずだ。で、僕は王子のことをアンディと呼ぶことになった。ちなみに、クーリエたちとはそうはいかない。


「今日は武術だな。午前中は座学だから、早く午後になって欲しいよ」


 とアンディ。


「成績がいいのに脳筋みたいな会話だな」


 と返す。突然「不敬」とか言われないといいな。


 そうやって八人でワイワイしながら教室へ入る。昨日と同じ席だ。

 時間になると、先生が入ってくる。


「おはようございます」


 とマーレ先生。今日は王家の近衛騎士団の団服を着ている。マーレ先生が武術の先生なのかな? と疑問に思っていると、隣から「強いんだぜ」とアンディ。知っていて教えなかったな? ま、教えてもらったところでだけど。


「今日は、武術の初めての講義ですので、武器について説明します。皆さんは、武器を使った訓練をしたことがありますか? まだ六歳なので、したことがない人もたくさんいると思います。ですので、どんな武器があって、どんな人に向いているのかなどを午前中に話し、午後にはいろんな武器を触って、自分に合ったものを選んでもらいます」


 と、授業が始まる。


 武器といってもたくさんの種類があり、それぞれに長所も短所もある。説明はナイフから始まり、ショートソード、ロングソード、両手剣、槍、斧、メイスなど、続いていく。さらに弓やクロスボウといった飛び道具まで。なお、杖は魔法の授業の範疇になるとのこと。さらには、ナックルやクローなど直接攻撃する武器の説明もあった。

 午前中いっぱい武器の説明をして、授業が終わりかけた時、かなでが手をあげる。


「はい、フランさん、質問ですか? 積極的でいいですね。皆さんも遠慮なく質問してください。で、どのような質問でしょうか?」


 とマーレ先生。


「はい、鎌はないのですか?」


 と。マーレ先生は目を点にする。ミカエルは口に手をあてて笑っている。あの武器、僕が想像しても使いにくそうなんだよね。攻撃する刃が内側に向いているし、柄の先端に槍がついているわけでもない。バランスも悪い。だけどね、かなでだもんね。元死神だもんね。きっと使い慣れているんだろう。


「鎌、ですね。ありますよ。あんまり使う人はいませんけど。今では死神くらいではないでしょうか」


 と実在するが知られていない存在をあげる。

 くすくす笑っている生徒がいるが、後で驚愕することになる。


「では午後には用意しておきますね」


 と。よかったな、かなで。と、さらに京子ちゃんが手を挙げる。恐る恐る聞く。


「あの、薙刀……」


 マーレ先生は首を傾げてクエスチョンマークを飛ばしている。知らないよな。


「あ、あの、いいです。私、槍が使ってみたいなー」


 と。僕も「刀は」って聞けばよかったかな。今度、鍛治の工場長に作ってもらおう。素材は生み出せるし。ミカエルは何がいいのかな。


 昼休みは食堂で食事をとる。十分な広さがあるので、上級生と席の取り合いをすることもない。ただ、なんとなく窓ぎわを上級生が占めているっぽい。

 僕らは場所を気にしたりしないので、空いている席に座って食べる。給食のようにメニューも量も決まっているので、料理の乗ったトレーを持ってくるだけだ。

 今日は食堂での初めての食事だったが、まあ、悪くはなかった。量もそれなりだったし。パンとスープ、サラダ、豚肉と思われる焼いた肉、デザートの果物。それなりに満足した。


「グレイス君は何を使うの? 武器」

「僕は、子供の頃剣道を少しだけやっていたし、片手剣と槍とか言われてもピンとこないんだよね。だから、両手剣にしようかなって思っているよ。でも、前世で見たアニメの短槍もかっこいいと思うなー。で、なんでソフィは薙刀?」

「私もね、小さい頃おばあちゃんに教えてもらった、前世のね」


 と後半を特に小声にして話をする。


「薙刀もかっこいいよね。かなでは鎌を使ったことがあるの?」


 僕を迎えに来た時は持っていなかった。


「はい、メインウェポンです」


 といって笑う。「鎌は最強なんですよ」と。そうなんだ。


「ミハエルは?」


 と聞くと、


「私は護衛職がいいので、盾と片手剣でしょうか」


 と。ブレないなー。


 午後の授業が訓練場で行われるので早めに片付けて移動する。他の生徒も集まってきている。みな、制服のままだ。やっぱり体操服はなかった。よかった。忘れたわけじゃなくて。


「みんな、集まっているかな?」


 とマーレ先生。じゃあ、この前にある箱の中に木剣というか木でできた武器があるから、使いたいものを持って行って」


 と。

 僕たちはそれぞれ希望のものを持ってくる。かなでは自分よりも大きな鎌を持って、むふーと嬉しそうだ。


「それじゃ、ちょっと広がって、思うままに振ってみて」


 と、まあ、みんなバラバラだから、まとめての指導は難しいんだろうな。


「まずは片手剣の人、こっちみてー、私の真似をしてみてね」


 と片手剣の型を演じていく。おお、先生、格好いいな。さすが近衛。


「次は両手剣の人……」


 マーレ先生は、順番に説明していく。


「槍の人」「メイスの人」「弓の人……」


 と、先生はなんでもできるらしい。ただ、


「弓の人は型がないから、ここではナイフを使ってね」


 だそうだ。そうだね。弓で人を殴るわけにはいかないよね、そんな場面はあるかもしれないけど。

 で、最後に、マーレ先生はかなでの前にやってくる。そして言う。というか聞く。


「それ、どうやって使うの?」


 と。

 かなでは得意げに振り回して見せる。


「まあいいわ、じゃ、それで」


 と先生は投げてしまう。いや、鎌を振り回すかなで、かっこいいな。


「フラン、かっこいいよ」


 とサムズアップすると、かなでは嬉しそうにぶんぶん振っている。

 先生は一通り生徒たちをみて、助言などを与えていく。体にあっていなかったり、苦手そうだったりした場合は、武器を変えさせたりした。


「じゃあ、ちょっと模擬戦をやってみるね。1対2だよ。私が片手剣で切りかかるから、反撃してね。実際の戦いではね、よく1対1でとか2対2でとかになるけど、可能な限り有利な条件を作るんだよ。いい戦いをしても怪我をしたり死んでしまったらどうしようもないからね。じゃあ、いくよ。まずは、ミハエルくんとソフィリアさん」


 みんなの前にでるミカエルと京子ちゃん。先生の前に立つがミカエルが前、京子ちゃんが後ろだ。


「いいね、前衛と後衛を分けているね、じゃあ、いくよ」


 といって、先生にしてはゆっくり走ってきて、片手剣をゆっくり振り下ろす。それをミカエルは盾でがっちり受け止めるわけではなく、右方向へスライドさせるように先生の剣をそらす。先生がミカエルの右へ剣を振り切ったところで、ミカエルの左後ろから京子ちゃんが槍を突き出し、先生の脇腹にヒットさせる。


「ミハエルの盾の使い方はいいね。それに二人とも連携が取れている。みんな見たかな? いいお手本だったと思うよ、はい、拍手」


 といって拍手を誘う。


「次はグレイスくんとフランさんね」


 僕たちは、僕が前衛、かなでが後衛。僕がやることは両手剣だけどミカエルがやったのと同じ。先生の剣を逸らしたところにかなでが攻撃をする。


「さっきよりちょっと速くいくよ」


 といって、先生がかけてくる。おい、ちょっとか? と、先生が振り下ろしてくる剣を両手剣で左から右へそらす、と当時にかなでが左から飛び出す。飛び出す? かなでは鎌を時計回りに振り回しながら飛び出し、先生の横を抜く時には、鎌の先端を僕と先生の間にすり込ませる。と、かなでがそのまま走り抜けると当然、


「鎌に刃がついていたら、先生は真っ二つです」


 とかなで。ついでに


「振り回すのがちょっと早めたら、鎌の先は先生の左脇腹に刺さっていたのです」


 と。

 もちろん、先生は本気ではない。それに、片手剣の場合、左手に盾を装備していることが多い。その場合は左側は盾で防がれたかもしれない。盾を持っていたら飛び出さずに右脇腹を狙ったかもしれない。なんにしろ、かなではわざと飛び出したのだ。それができると思って。僕の陰から。


「すごいですね。鎌はそうやって使うのですね。もしかして、前衛になった場合、その鎌の背で剣を弾くこともできます?」


 と聞く。かなでは「うん」と頷く。先生も僕たちにだけ構っているわけにはいかないので、


「じゃあ、他の人のも見ていてくださいね」


 といって次へ移っていく。アンディのチームをみて、クーリエのチームをみて、他の生徒との模擬戦もみて、授業は終わった。   


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