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王立学園ー1

 入学式のため、四人で学園へ行く。門をくぐるとたくさんの入学生と先輩方がおり、賑やかだ。


「新入生のみなさーん、クラスはこちらで確認してくださーい」


 と声を張り上げるのは、若い女性、先生だろう。掲示板には紙が貼ってある。


「名前の横に、座学、魔術、武術の順にクラスが書いてあります。ちなみに、名前の左にある数字は、入試の順位です」


 とのこと。

 新入生がその声に釣られて移動していく。僕らも掲示板に向かう。僕は、とりあえず、自分の名前を探す。


 名簿の真ん中あたりに自分の名前を見つけてクラスを確認するとSSSだ。すべてSクラスということ。

 よし、っと手を握っていると、京子ちゃんもかなでもミカエルもSSSクラスだといい、皆で全て同じクラスになれたことを喜んだ。

 さて、入試の順位はというと、僕は四位。まあまあかな。なぜなら、各科目、最後の問題の解答を消しておいた。他は満点だからSは確実だと思っていたからだ。

 すると、むふーと京子ちゃん、人差し指を立てている。

 え?

 と、掲示板を見ると、京子ちゃんが一位。で、かなでが二位、ミカエルが三位だ。

 ま、負けた。とはいえ、まあ、さほど目立とうとも思っていなかったからよしとする。

 僕ら四人が上位独占したことを喜んでいると、ちょっとした殺気を感じた。振り向いたけど、人がたくさんいてわからなかった。ま、あの程度の殺気、どうでもいいだろう。


 今日はとりあえず、座学のクラスに行く事になっている。

 クラスに入る。

 入り口の引き戸を抜けると、教室の前の方に出た。教室は、前に黒板と壇上があり、生徒の席は階段上になっていた。好きな席に座っていいと黒板に書かれていたので、右上の方に四人で位置取る。

 しばらくしていると、同じクラスの生徒が集まってきて、おおよそ四十人くらいになる。

 しばらく話をしていると、四人組がやってくる。僕達とは逆の左後ろを陣取った。


 一人の男子が近づいてくる。


「お前がグレイス・ローゼンシュタインか。余計なことをしやがって。しかも、お前の婚約者が公爵令嬢で、俺が侯爵令嬢とはな。少しは弁えろ」


 とのたまう。

 侯爵令嬢らしき女の子が俯くのを見て立ちあがろうとする僕に、京子ちゃんが耳打ちする。


「クーリエ殿下です、母様のお義兄様、つまり私の義叔父の息子です」


 とのこと。なるほど、元第二王子の正妻の直系の男子か。アレックス様が継いだことで、国王の芽が潰えたかな。

 と、目の敵にされる理由を察する。

 ちなみに、シャルロッテ様は第二夫人との子供だ。つまり、クーリエと京子ちゃんは遠いいとこになる。


「初めまして、クーリエ殿下。私は、グレイス・ローゼンシュタインと申します。辺境伯家の次男であり、ソフィリアとは幼馴染ということもあって、婚約を許していただきました。殿下の婚約者様はさすが六歳にして麗しいお方かと。人は肩書きではありません。振る舞いだと改めて認識させられました」


 と、余計なことを言う。


「お前、俺に品格がないとでも?」


 と。あ、そっちか。ごめんな。と思っていると。


「やめないか」


 と、また違うグループ。あれ、もしかしてややこしくなる感じ? と、嫌な予感をしていると、


「アンドリューか、お前の爺さんが国王になったからっていい気になるな!」


 と言って、クーリエは去っていく。


「アンドリュー殿下でいらっしゃいますか? 助けていただきありがとうございます」


 と頭を下げると、殿下は小声で、


「お祖父様からは聞いている。こちらこそ礼を言う」


 と。次いで、


「お祖父様からも、お前たちと仲良くするように言われている」


 とのこと。それは嬉しいが、


「ありがとうございます。クラスメートとなれたこと、嬉しく思います。今後ともよろしくお願いいたします」


 と、へりくだって言っておく。


「クーリエが何か言ってきたら、僕に言ってくれ」


 と言って、アンドリュー殿下達は真ん中後ろに座る。アンドリュー殿下も四人グループのようだ。


 しばらく座って待っていると、女性教師が入ってくる。先ほど、掲示板の前にいた先生だ。


「はい。私はこのクラスを担任する……」


 あれ? 教科ごとにクラス変わるよな。


「マーレ・マイルズです。よろしくお願いします。早速ですが、入学式が始まりますので、講堂へ移動してください。アンドリューくんは新入生挨拶をお願いしますね」


 と言って、生徒たちを連れて講堂へ移動していく。


 入学式が始まると、校長、六年生代表、新入生代表と挨拶をし、最後に若干の説明で入学式が終わる。まあ、ありきたりの入学式だった。


 僕たちは再び教室に戻る。教室では、担任のマーレ先生から明日以降の説明を受けて解散する。


 僕たちも帰ろうとすると、アンドリュー殿下が取り巻きを連れてやってくる。そして取り巻きの紹介が始まった。

 クララ・ラインハルト公爵令嬢。殿下の婚約者だ。

 それから、ボールズ・レイアース伯爵家次男、ケイト・ブライト伯爵令嬢。

 僕たちは僕たちで自己紹介する。明日からもよろしくとのことで、別れた。


 クーリエから、痛い視線をもらったが、まあ、無視しておこう。


 明日から授業が始まる。授業は、座学→魔法学→武術→座学→魔法学→武術→休みといった、ローテーションで行われるようだ。

 魔法学は、午前が座学で午後が実習、武術も午前が魔獣等の説明だったり戦術だったりの座学で午後が実習らしい。

 これは、先生方が、一日授業をしたら、二日研究する、というスケジュールだかららしい。まあ、今日は終わったので帰る。


 教室を出て、校舎を出たところで、マイヒメが僕ら四人の後ろに現れ、ついてくる。きっと残りの三匹もどこかにいる。

 僕は、残りの三匹を呼び出す技を知っている。

 学校の庭にあるベンチに座る。京子ちゃんは隣に、かなでとミカエルはその後ろに立っている。気にしないで座ればいいのに。

 ここで、マイヒメを呼び、膝の上に乗せてゴロゴロする。マイヒメは魔力ぐるぐるのせいで手足も長く、かっこいメスではあるが、顎の下をごろごろとすると目を細めて気持ちよさそうにする。つまり、かわいい。

 そうしていると、残りの三匹もやってきて、かまえと言ってくる。それを僕と京子ちゃんで撫でていくのだ。

 多くの生徒たちが、猫と戯れる僕たちを横目に帰っていく。全て一年生。二年生以上は今日も授業がある。

 猫と戯れていると、一人の少女がやってくる。さっきの侯爵令嬢、クーリエの婚約者だ。金髪の長いストレートが美しい、品を感じる少女だ。


「先ほどは申し訳ありませんでした。私はリリアーナ、リリアーナ・カルバリーと申します。クーリエ様の婚約者です。家はカルバリィ侯爵家です」


 とのこと。先ほどの印象どおり麗しいご令嬢だ。クーリエには勿体無い。


「こちらこそよろしくね」


 と京子ちゃんが積極的に手を出す。京子ちゃんは公爵家令嬢なので、間違っていない。リリアーナは京子ちゃんの手を両手で握って頭を下げている。


「ところで、素敵な猫ちゃんですね。触っても?」


 と言うので、マイヒメを渡す。マイヒメを受け取ったリリアーナは、京子ちゃんのトントンと言うベンチを叩くのを見て、隣に座って猫を撫でている。


「この子達は?」


 と聞いてくるので、


「僕が飼っている猫たちです。僕が心配で学校までついてきたみたいです」


 と笑っていう。

 しばらく、猫談義を続ける。ふと、リリアーナは寂しそうな顔をして、


「クーリエ様は、アレックス様が王位を継いだあとからあのように少し拗ねていらして。婚約者が侯爵令嬢の私であることも気に入らないご様子です」


 と言って俯いてしまう。僕は言う。


「猫好きに悪い人はいません。今後とも仲良くしていただけたらと思います。クーリエ様もそのうち落ち着いてくださるのではないでしょうか」


 と。


「後ろのお二方は?」


 と聞くので、


「僕とソフィリアの幼馴染です。うちの第二騎士団長の子供ですが、先日、二人とも元国王から男爵位を約束されています」


 と言うと、「まあ」と言って、手を口に持っていき驚いた様子。かなでもミカエルもそっと頭を下げている。


「お二人はお友達になってくださいませんでしょうか」


 とリリアーナ。

 かなでとミカエルは「もちろんです」と返事をする。が、人前ではこんな感じで一歩控えると言っている。僕はやめて欲しいと言っているのだか。

 ついでに、僕は友達になってくれと言われていないが。


 しばらく話をした後、リリアーナも僕たちも帰ることにした。こうして初日は終了した。


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