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婚約に向けてー4

 これで謁見を終わり、国王様たちは魔法銃の入ったケースとライターを持って帰っていった。宰相様はコンロも持っていった。


「公爵様、本日は大変ありがとうございました。僕は、ソフィリアを必ず幸せにしますから」


 と、六歳児。公爵様は


「頼むよ」


 と笑って言った。


「さて、フリッツ、一点、気になることがあるのだが。お前の姉は第二王子に嫁いでいたよな。第一王子を助けるようなことをして、仲が悪くならないか?」

「それを言うなら公爵様は、ご自身の嫡男を姉と第二王子の娘と結婚させたではありませんか」

「私は、初めから中立だと言っている。それでいいと言ったのは第二王子だ。お主の姉もそうだろう?」

「はい、そのとおりです」

「実は、ここだけの話だが、第二王子は王位につきたいと思っていない。取り巻きがそうさせたいだけだ。だから、気にしなくてもいい。もし、第二王子にライターや魔法銃のことがバレたら、献上しておけ。第二王子も争うことを望んでいない。そのことはシャルからも聞いている。お前は姉から聞いていないのか?」

「申し訳ありません。実は聞いております。誰もが聞いている話ではないので、黙っていましたが。ですので、私としても、第一王子が王位を継いだ後、第二王子のサポートもさせていただく所存です。中立ですから」


 と父上は公爵様と笑い合う。


「平和が一番だな。第二王子派の貴族が何もしなければいいがな」




 ローゼンシュタイン邸に戻り、部屋に戻って休もうとする。かなでとミカエルもミレーヌと一緒に下がっていった。

 僕も休もうかと部屋へ下がろうとしたところで、父上から待ったがかかる。


「ちょっといいか、グレイス。ついてきてもらおう」


 と。今日はまだ終わらないのか。

 母上も一緒についてくる。

 少し驚いたのだが、当然とはいえ当然、この家にも地下室、研究室があった。そこへ三人で入る。


「さて、ここにはこの三人しかいない。で、お前は、どこまで読み解いたのだ?」


 おそらく魔法陣のことだろう。今まで水を作るのと空気および水の浄化しか、魔法陣がなかったのだ。

 僕は、休めないことにため息をついて、説明を始めるが、その前に言っておく。


「父上、大変申し訳ないのですが、私は、これからも研究を続けるつもりではあるのですが、少し学園に通うことに、学園で学ぶことに時間を費やしたく思います。ですので、この研究室を使わせていただきたいとは思っているのですが、今後の技術開発はあまりあてにしないで欲しいです」


 と。父上も母上も頷いて納得してくれた。なので、説明を始める。が、何から説明していいものか。

 僕が魔法陣を見ることができることなどは言わない方がいいだろう。


「何を説明したらいいでしょうか。火の魔法陣を作ったことでしょうか、アイスバレットを飛ばしたことでしょうか。それとも」


 と言うと、父上は、全てだ、と言わんがばかりに、


「好きなように話せ、わかるようにな」


 と言う。仕方ない。


「まず、工場で私は、三つの魔法陣、魔力吸収する魔法陣以外について、見せていただきました。大きく二つに分かれます。一つは、水を生み出す魔法陣。もう一つは、空気中から匂いを消す、もしくは水から異物を消す魔法陣。です。これらの共通点を探したのです。魔法陣は全く読めない文字のような羅列がありました。水を生み出す魔法陣は大きく二つのパートから、それ以外は三つのパートからなります。結論から申しますと、水を生み出す魔法は、“顕現させる“と、“水“からなります。水から異物を除去する魔法陣は、“消す““異物““水“となり、匂いを消す魔法陣は“消す““匂いの素““空気“と予測しました。この“水“の部分と“消す“の部分は、二つの魔法陣で共通していましたので、おそらくそうだろうと予測したのです。次にしたのは、“顕現させる“の後に違うものを組み込んだ魔法陣を作りました。一つしかしませんでした。後悔しましたから。それは、“顕現させる“と“匂いの素“です。この二つを繋げて魔法を発動させた時、部屋中が酷いことになりました」


 と、そこで、母上が大笑いする。


「それはいい。それもある意味大きな武器になる。ぜひ作れ。アリシアの皇帝の椅子に仕込んでやりたいわ」


 と、腹を抱えて笑っている。ツボに入ったらしい。

 僕もブーブークッションなる大昔のおもちゃを思い出して、意外といいアイデアだと、作ることを決意する。


「母上、ぜひ作りましょう。で、話を戻しますが、こうすることで、色々と魔法陣についてわかってきました」


 と僕。で、これから先はあまり話したくはないが。


「ところで、これ以上聞きます?」


 と聞くと、父上は当たり前だという。火魔法まで行かないとダメか。


「私は、そこで、これを、命令、目的、状態、動きの順番であるとしました。もちろん、炎の素などは何千通りも試しました。その後に続く言葉もです。結局のところ、ファイアバレットは、顕現させる、炎の素、超高熱、飛ばす、の四つの言葉からなります。で、アイスバレットは顕現させる、水、超低温、飛ばす、となります。このようにして魔法銃を生み出しました。ちなみに、ライターとコンロは顕現させる、炎の素、高熱、となります」


 と、説明する。黙っててくださいよ、と念を押して。


「解読したのか、あれを」


 と父上は驚愕している。


「はい。これ以上は、世界の文明の発展の仕方があまりにも急になってしまうと考え、ここでやめています」


 と僕はここで話をやめたいと思う。


「まだ何かあるのだろう?」


 と父上。仕方ない。あと少しだけ。


「父上、これは、説明のために必要だと思い用意しましたが、父上に説明した後に破棄します。いいですね」


 と言って、五つの魔法陣をカバンから取り出す。


「まず一つ目です」


 と言って、魔法陣をひっくり返して皿の上に置き、発動させる。すると、銅の塊が現れる。


「これは、顕現させる、銅、塊、です。」


 で、次の魔法陣。


「これは、顕現させる、銀、塊」


 僕は続ける、 


「顕現させる、金、塊」


 ここまでやると、父上も母上も固まる。

 それを見て僕はいう。


「これを知られると、金も銀も銅も暴落します。なので破棄します」


 と言って、僕は魔法陣を燃やしてしまう。父上は、「あっ」っと言って手を伸ばすが燃えてしまってはどうのしようもしようもなく、しょんぼりする。

 僕は次を出す。


「これは、顕現させる、白金、塊」


 と言ってプラチナの塊を。最後に


「顕現させる、サファイア、塊」


 と言ってサファイアの塊を顕現させる。

 もちろん、その魔法陣も燃やしてしまう。

 銅、銀、金、白金を父上に、サファイアを母上に渡して、


「口止め料です」


 と言っておく。


「申し訳ないのですが、今は、コンロと電池で許していただきたいです」


 と、父上と母上に頭を下げる。


「これを知るものは?」


 と聞かれるので、僕は


「ルナとラナ、それといつもの四人、今話したお二人です」


 と伝える。父上は、母上に


「警護をより厳重に」


 と指示を出し、母上はサファイアを握って「わかった」と言っている。


「魔法銃はどうやって作っているのだ?」


 と聞かれたので、これは素直に、ローゼンシュタインの工場で型を渡して作ってもらっていると教える。

 父上は、「わかった」と全てを投げ出したように部屋を出ていき、今日の話は終了する。

 母上は僕に「王都にいる間はこの部屋を使っていい」と許可をくれる。とはいえ、魔法陣の研究はできても、ものを作るためには、ルナやラナ、工場長たちの手伝いが必要なので、領都に帰らないと、先へ進まない。まあいいか。

 ようやく解放され、僕は眠りにつく。




 そうこうして合格通知が三通届いた。クラス分けは、入学式当日だ。よって、それまでは特にやることもないので、いつもの四人で街を散策したり家で話をしたりして過ごした。


 そうして春になった。

 春になって一番のニュースは、国王様がアレックス様に王位を譲ったことだ。また、宰相様も同時に嫡男にその地位を譲った。

 さらに驚いたのは、グリュンデール公爵様、それと我が父上までが、爵位を子供に譲ったのだ。新しいグリュンデール公爵はパブロ様。ローゼンシュタイン辺境伯はテイラー兄様だ。

 老兵は去るのみと言っていたが、何を企んでいるのか。まあ、できることはそうはあるまい。なんだかんだ言って、影響力を持っている。周りが放っておかないだろう。




 そして、ついに僕らは学園に入学を果たした。


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