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グリュンデールー1

 グリュンデール領都の邸宅に移ったのだが、この冬に行ったこと、それは邸宅の増築。というか、別邸の建設というか。

 妻が十人。しかも、春には子供が生まれ始め、子供の数は十人という予定。双子とかいないよね? しかも、母上までやってきて、シャルロッテ様と日々楽しんでいる。ということは、ついてくる黒薔薇。そうなると、すごい数になる。グリュンデール公爵家に仕えていた騎士たちよりよっぽどか多い数の騎士がやってきたことになる。黒薔薇はすべて女性。ということで、公爵が住む邸宅を改築するのはあきらめて別に屋敷を建設することにした。


 領都の外にあった魔道具工場のとなりの広大な土地に無理やり邸宅を建てた。黒薔薇の寮もつくり、訓練場も作った。ついでに、訓練場の南側に、ドラゴンの発着場も作った。じゃないと、彼らは訓練場に降りてくる。

 それから、ラナとルナがこっちに来たので、キザクラ商会の本部も邸宅の隣に作る。地下の研究室も忘れずにだ。そうなると、ホーンラビットの養育場も必要となり、それに加えて、ケルベロスたちの牧場も作らないといけなくなった。ほぼほぼ第二のローゼンシュタインだ。

 これらを城壁で囲むと同時に、グリュンデール領都とつないだ。おかげで鉄アレイのような城壁になった。もちろん、キザクラ商会のお金を最大限活用して、こっちにもたくさんの商店を誘致したり、人を集めて街を作ったりした。

 人は、領都外からも呼んだ。働いてくれるスラムの人たちにも来てもらった。大き目の孤児院も作り、孤児院のシスターたちや住んでいた土地にこだわりのない子供たちも含めて移住してもらった。当然学校も作り、彼らが勉強や冒険者になるための訓練もできるようにした。忘れていけないのは、猫たちだ。全猫たちを呼んだ。結果、もとからグリュンデールにいた猫たちが支配下に置かれた。


 当然のように、公爵は忙しくなったが、代官と何とかやりきっているようだ。僕? 本来は手伝うべきだろう。だが、キザクラ商会で販売する魔道具の開発をしないといけない、と言って逃げた。京子ちゃんは、


「うちのパパが過労死したらどうしてくれる?」


 と言ってきたが、ヒールをかけると言って何とか乗り切った。街づくりは一年以上もかかることになった。




 さて、結婚して冬を過ごし、春になる。邸宅はすでに建っているので、一人寝に寂しくなった僕は、自分の寝室のベッドを十一人で寝られるほど大きなものにした。そろそろ妻たちはおなかが大きくなってきていて、そばにいさせないと何かと心配なのもあった。

 それと、とりあえず、ベビーベッドも十台用意。子供用の肌着も大量に作った。大量に作ったといえばおむつ。紙おむつが欲しい。それと、水洗浄魔法を作った洗濯機を何台か用意した。大型のものを作って一気に洗ってもいいのだが、おむつはその都度洗いたい。十人も赤ちゃんがいたら、おむつ洗いにフル稼働するだろう。


 五月になると、こはる、ドライア、ディーネがそろって出産した。そりゃ、同時だったからな。

 こはるは、ドラゴン族だが人型で、赤色の髪を持つ女の子を産んだ。みずきと名付けた。

 ドライアの子は、親と同じく高位精霊として生まれた。緑の髪でなんと性別はなし。みのりとした。

 ディーネの子は、高位精霊で青色の髪の子でやはり性別はなし。しずくと名付けた。

 ちなみに、精霊の子供は精霊。精霊は、人のように夫婦で子供を授かるわけではないけれど、子を宿すのにきっかけとしての行為はありらしい。というか、今回初めてそれがわかったとのこと。よって、二人の精霊の子に僕の遺伝子は関与していない。

 みのりはドライアの分身体、しずくはディーネの分身体のような存在として生まれた、ということだ。

 精霊は普通、低位で生まれ、中位を経て高位に至るらしい。なので、今回のような高位精霊が高位精霊を生むなんてことはこれまでなかったとのこと。ちなみに、高位になった精霊は精霊を束ねる大精霊様に謁見しないといけないらしく、そのうち行かないと、と話をしていた。


六月、

京子ちゃんの子、ブルーイッシュシルバーの髪の男の子、しょう。

かなでの子、黒髪の女の子、なでしこ。

ライラの子、金髪の女の子、しんじゅ。

リリィの子、金髪の男の子、さくや。


七月

ラナの子、エルフ(ハーフ)、グリーンがかった金髪の男の子、レン。

ルナの子、エルフ(ハーフ)、グリーンがかった金髪の女の子、リン。


八月

さつきの子、ドラゴン族の人型、赤髪の男の子、そら。


 ちょうど、男の子と女の子が四人ずつ。性別なしが二人。産み分けうまいな。

 名づけは、僕にはセンスがないと言い張ったのだが、全員付けた。

 それと、みんなに、魔力ぐるぐるを一年間行うようにお願いした。僕はやらないのかと? 僕は、この季節、猫がやってくるからだ。

 五月から六月と、七月から八月と二回にわたって、四匹ずつ。相変わらず、猫たちの名前は我慢してもらった。つけるとしたら、これまでの子たちにもつけないといけない。去年は京子ちゃんたちも猫に魔力ぐるぐるをしていたが、今年は猫たちも自粛したようだ。


 執務室で子猫四匹に魔力ぐるぐるをしてやる。寝室は十一人で寝るし、その傍らにベビーベッドが十台もある。ないと思うが、子供たちが猫アレルギーだったりしたらかわいそうなので、寝室から猫は離したのだ。傍らに第一世代が集まっている。ちょっと子猫たちを置いて、


「マイヒメ、コマチおいで」


 と言って呼ぶと二匹が僕の膝の上にやってくる。魔力ぐるぐるをしたせいか、大きさは普通の猫くらいだが、手足もしっぽも長くてかっこいい。まだまだ元気そうだ。僕がこの春に十七歳になった。ということは、この子たちは十四歳になった。まだまだ長生きしてほしい。マイヒメとコマチをいいだけ撫でてやる。


「カゲツ、シュウゲツもおいで」


 といって、この二匹も撫でてやる。こっちの二匹はオスのせいかちょっと大きめ。かっこいいのは同じ。オスなので、ちょっと強めにわしゃわしゃなでる。頭をなでてやると、目を閉じて気持ちよさそうだ。


「そうだ、マイヒメ。第四世代と第五世代を呼んできて」


 というと、マイヒメが出ていく。

 しばらくすると十二匹の猫がやってくる。


「第四世代―」


 というと、四匹がやってきて並ぶので、左から、


「キッショウ、タイフク、メイゲツ、モチヅキね」

「にゃーん」


 と返事が返ってくる。


「第五世代―」


 というと、第四世代と入れ替わる。左から


「タイザン、ギオウジ、トラノオ、キンリュウ、それから、ユタカ、ランラン、ヒタチにヒヨシね」


やっぱり「にゃーん」と返事が返ってくる。


「これから活躍してもらうから、よろしくね」


 猫たちは「にゃーん」といって、部屋を出て行った。


 寝室に戻ると、ベッドの上で妻たちがぐったりしている。子育ては大変なのだ。わかってはいる。夜泣き対応はなるべく僕がすることにしている。それと、黒薔薇メイド。二人以上に泣かれるともう手に負えない。妻たちにはぐっすり寝てほしい。そのため 僕はいつも寝坊しがちになっている。


 朝、食事をするために食堂へ行くと、妻たちと子供たちにあいさつする。だが、生まれたばかりの子供が十人もいると、にぎやかで、僕はあんまり相手にしてもらえない。仕方ないけど。なので、僕は研究に励むことにする。新婚生活ってなんだっけ。


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