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魔法と技術とそして猫ー2

 そんな感じで情報収集をしつつ、とはいえ、一人で考えごとをしているのも時間がもったいないので、四人が揃っている時は、手を繋いで意見交換をしたり、動き回ったり、時には絡まり合ったり、これはかなでが嬉しそうだったが、メイドさんに本を読んでもらったりともうすぐ一歳児として過ごしていた。

 夜、寝る前に僕は魔力ぐるぐるをしながら考える。

 僕も多くの人に喜んでもらえる、そんな技術を作りたい。技術開発を行ってきたこの家に生まれたのは運命だ。と、自分で決めつける。

 だけど、ゼロから作るのは難しいということは重々承知。前世がそうだったからね。

 だから、この世界でまだ見たことのない電気は使えない。どこかにあるのかな? ま、魔法で電気を作れるかもしれないけど、電気は貯められないと使えないだろう。モーターなどを動かしている間、ずっと魔力を流している訳には行かない。

 風や水といった自然エネルギーもある。だけど、せっかくだから、我が家の強みを発揮しよう。

 つまり、魔法陣だ。

 魔力を吸収する魔法陣っていうのが素晴らしい。これを使って他の魔法陣を発動させる。この技術を活用する。

 現状、水の浄化とか空気の清浄化とかよくわからない。水や空気以外を除去しているのか分解しているのか。空気を構成する分子と匂いを構成する分子をどう分けているのか。イメージはできるけど、魔法陣に落とし込む具体的な方法がわからない。

 と、ここで気づく。魔法陣て何?

 そういえば、まだ見たことがない。漠然と前世でみた小説やアニメに出てくる魔法陣を思い浮かべていたけど、違うかもしれないよね。

 トイレでは、一方は銀盤で覆われていたし、もう一方はタンクの中や壁の向こう。うーん。


 翌日、僕らはまた四人で手を繋いで話をする。僕がそんな技術開発をしたいって熱く語ると、京子ちゃんもかなでも目を輝かせてくれる。ミカエルは冷静だ。


「みんなは何かしたいことないの? 京子ちゃんは前世では農作物の研究していたじゃん!?」

「私は、まだこの世界の様子がわからないから、いろいろ見たり学んだりしてからかな。他にも興味が湧くものもあるかもしれないしね。例えばさ、医学とか薬学とか、この世界のレベルはどのくらいかな? とかさ。どっかの誰かさんは、魔法で治しちゃうけどね」


 と言って京子ちゃんは笑う。


「それに、メイドさんが歌を歌ってくれることがあるけど、音楽ってどのくらいのレベルなんだろう。前世のような楽器があるのかな? とかね。あとは、食生活。私たちはまだ離乳食だけど、おいしいご飯とか、ケーキとか開発できないかな?」

「ミカエルとかなでってさ、前に職場研修で色んな世界に行っていたって言っていたじゃん。この世界の言葉がわかるってことは、この世界にも来たことあるんだよね?」


 なんて、今更なことを聞く。実は、聞けなかっただけなんだけど。


「職場研修でいたのは、あの世界と同じく空の上だったんですよ。人とは接したけど、文化には触れてないんです。かなでもそうだと思います。しかも、何千年も前だから、今の文化と違うと思いますし」


 と、ミカエル。うんうんとかなで。


「じゃあ、二人は何かしたいことある?」


 って聞いてみたところ、ミカエルは、


「私は京子様のお役に立てるよう頑張りたいと思っています。今は立場が違うので、ついていくことはできませんが、いずれ役立ってみせます」


 って。

 あれ、“さん“が“様“に変わったぞ。


「私は陵様についていきます。いつでもどこまでも一緖です」


 と、ぶれないかなで。

 ミカエルは意外だったな。とはいえ、僕にくっついてくるとは思っていなかったけど。もしかしたら、名付け効果かな。


「ミカエルの気持ちは嬉しいけど、私は陵くんとまた結婚するよ」


 って京子ちゃん。嬉しいことを言ってくれる。これに対してミカエルは、


「傍付きとしてお役に立つことが目的なので、構いません」


 って言っている。すごい忠誠心。かなでは苦い顔をしているけど。


「ねえ、王立学園って知っている?」


 と京子ちゃん。


「いいや、知らない。」


 あれ、僕だけ?


「六歳になると入るらしいよ。受験があるらしいけど。私さ、もうすぐ帰っちゃうじゃん? 年に何回かはこっちに来たいけどね。でも、王立学園ならずっと一緒にいられるかなって。それでね、一緒のクラスで勉強したいね。クラブ活動も一緒にね」

「王立学園には私たち平民も入学できるのでしょうか」


 と、心配そうなかなで。


「私がみんなと離れるのを嫌がって寂しそうな顔を毎晩していたらね、お母様がね「春から離れ離れになっちゃうけど、毎年遊びに来ましょう。それから、王立学園にはいれば、また四人で過ごせますよ」って言ってくれた。お母様は、私が理解しているかどうかはわからないけどね。だから、大丈夫だと思うよ」


 と、かなでを気遣う京子ちゃん。


「まだ五年も先の話だけど、準備しておけば憂いなしだから、むしろ、他の子達より有利なんじゃない? 零歳児が目標にするんだから。もしかしたらクラス分け試験なんてのもあるかもしれないしね」

「よし、今は零歳児らしく遊ぶかー」

「「「おー」」」


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