表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界帰りの米蔵さん88才・今日も元気に徘徊中  作者: 安ころもっち


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/5

04.

異世界帰りの米蔵さん88才は今日もまた、近所の道をお散歩中…

ではないようです。


今日は米蔵さんのお隣には最愛の人、留子さんがいるのです。

留子さんは御察しのとおり末っ子の甘えん坊、そんな彼女と一緒に今日は近所のお花屋さんへお買い物です。


年金で余ったお金でちょっとこじゃれた花束を…

米蔵さんのそんな愛に満ちた言葉で今日のデートと成ったようです。


なじみのお花屋さん。

普段は仏壇に飾る花しか買ってませんでしたが、今日は少し緊張した様子の米蔵さんが店先にたどり着きました。


さっきから血圧が上がっては状態回復(リカバリー)をかけ、その場をしのいでいるようです。


「トメさんに似合う花束をひとつ」

お花屋さんのお姉さんにそう言って1万円札を渡す米蔵さん。


お隣の留子さんはその姿にポッと頬を赤くしています。


「少し待ってくださいね」

お姉さんは二人を微笑ましく思いながら、素敵な花束を作ろうと店の花たちを物色していました。


「おう!お前!」

突然聞こえる大きな声。


米蔵さんはあまりの事に一瞬心臓が止まりかけましたが、そこは元勇者の血が騒ぎ、留子さんを守るように『回復結界(ホーリーサークル)』を発動して事無きを得たのです。


米蔵さんは、大声を出したであろう厳つい男が、先ほどのお姉さんに掴みかかっているように見えました。


ぼやけている視界を『視力強化』で補うと、すぐにその不埒な男を取り押さえようと動き出そうとしました。


ですが米蔵さんより早く、すでに留子さんは動いていました。

ツカツカと近づくと、その男の手を持っていた杖でバシンと叩いていたのです。その姿にまた惚れなおしてしまう米蔵さんでした。


「いてーなババー!」

そう言って男が留子さんに標的を変えた時、米蔵さんはやっと動き出します。


留子さんに見惚れてしまった自分を恥じ、すぐに『操り人形(マリオネット)』を発動すると、留子さんを操り男の拳を華麗にさけるよう動かしていきます。


拳を躱されたことで転んでしまった男に、『神速』で近づきお得意の『超重力(グラビティ)』で押さえつけます。


そのことで少し冷静になった男は、以前ここで作ってもらった花束を、彼女さんに馬鹿にされデートは旨く行かなかったと涙ながらに語るのです。


「男は我慢じゃよ」

米蔵さんは長年の経験からくる深い言葉を投げかけ、男の肩をポンと叩きます。


「じいさん…」

こうしてその男はペコペコと頭を下げて帰って行きました。


「おじいさん、ありがとうございます。あの、お名前は…」

「さーて、名乗る名など…忘れてしまったよ」

「米蔵です。私は留子といいます。お花よろしくお願いしますね」


何時もの通り、名乗らずに終わるところだった米蔵さんも、留子さんのお陰で無事名乗ることができました。


そして出来上がった花束を、留子さんに無言で手渡す米蔵さん。


見つめ合う二人…どうやら今夜は少し暖かくなるようです。


めでたしめでたし。

お久です。

何気に多くのポイントを頂き、感謝の思いで更新してみました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ