83.この世界に来たユリア
83.この世界に来たユリア
ジュンはプログラム上のユリアさん達をこの世界に連れてこれないか、
転送装置と復元プログラムをいろいろと調整していたが、
サル等の復元実験は成功し、いよいよユリアさんを実体化する段階までたどり着くことができた。
転送装置がある部屋には、子爵とリリル、そして、ソニアとダクラスがいた。
リョウは、ユリアさんの復元のための起動アルゴリズムを起動させ、
ユリアさんのデータとリンクさせる、そして、実体化が始まる。
転送装置ではおよそ10分ほどで復元する計算だったが、
一同、この時間が長く感じられた。
しかし、10分後転送装置のドアが開くと、1人の女性が現れた。
「ジュン、子爵、それとダクラス、あっち向いて!」
リリルは大声を出す。
そのあらわれた女性は裸だったからだ。
「ここは?私はどうしたの?なんで私は裸なの?」
「ユリア、ここはジュンの元々いた世界だよ。
ここにある装置で、ユリアもこの世界に来ることができたんだ。」
父である子爵がそう説明する。
「先程まで、ジュンの用意した空飛ぶ船にいたと思うのですが、
ここはそうではないのですか?」
「話はあとでするよ。」
ジュンはその様に話す。
転送装置のある部屋を出ていったダクラスは、
医療室から毛布を慌てて持ってきた。
ソニアはそれを受け取り、ユリアに毛布を渡した。
ユリアはその毛布をかぶる。
しばらくして、
リリルも部屋に戻ってきて、ユリアの体のサイズに合いそうな服をユリアに渡した。
ユリアはリリルにこの世界の服の着方を教えてもらいながら、渡された服に着替える。
その後、ユリアはダクラスの案内で、医療室に向かい、転送装置で生成された体のチェックを受ける。
医療室でチェックを受けている間、子爵は喜びを隠せない顔で、付きっ切りで、この世界のことを説明する。
検査が終わり、ダクラスから健康体の体である連絡を受けた後、
リョウと子爵、リリルは、ユリアを完成したばかりのラウンジに連れて行き、
子爵の説明を引き継ぐ形で、この世界のことを説明する。
「ということは、元々は私はジュンが作ったプログラムの1つだったってことなの?」
ジュンはうなずく。
「なにがなんだか、まだ信じられないかな、私。」
「ゆっくりと理解していけばいい、ユリア。」
「そうだよ、ユリアちゃん。慌てることは無いよ。」
ジュンは、ユリアがまじめだから、現実を受け入れるのに、時間がかかる場合もある、と思った。
「わ、私は、この世界で何をしていてば良いの?
少し前まで、領主の娘で、今は、別の世界に転生した人?」
ユリアは窓の外に見える巨大な人工衛星と宇宙空間を見ながら、
悩んでいる様子だった。
その後、完成したばかりの拡張リビングデッキの1室をユリアが使うことになり、
子爵とリリルが部屋の使い方を教えていた。
イリーナが気を利かせたのか、部屋の装飾はビクトリア調で、
ベットや家具などは、木製の物がシミュレートされ、
宇宙空間が見える窓には、カーテンが設置され、ジュータンやタペストリーも飾られていた。
基本的に、子爵とリリルもユリアの部屋の近くに引っ越しとなり、
部屋には同じ装飾が施されていた。
ジュンは、ソニアがこの後、人工衛星の調達部へ行っているイリーナと会う話を聞いて、
お礼をジュンが言っていたと言っておいてくれないか、とお願いをした。
ジュンは、ユリアに子爵とリリルが説明をしている途中で、
部屋を抜け出して、コクピットに向かった。




