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80. ハインツとオットー

80. ハインツとオットー


ハインツとオットー、そして、数名の造船技術者は、工作用操舵装置を使って、

遠隔でリビングデッキと格納庫デッキ、そしてエンジンルームの拡張工事を行っていた。


色々と予算の面から、一部の改造にとどめる予定だったが、

追加のスクラップ船の解体が運よくあることがわかり、

その船で使っていた拡張デッキを改造して、作業を行っていた。


オットーと数名の造船技術者がデッキを溶接したところを、

ハインツが見て回っている。


「ここはダメだ、やり直しだ。強度が足りん。」


「計算をしたのですが。」


「いや、ここは余裕値を見ておいた方が良いぞ。」


「どうしてですか?」


「艦がこういう動きをした時に、この部分に力が大きくかかる。

この艦は機動性も考慮した方が良い。

武器の搭載数が少ない分、機動性で致命傷にならない様にするんだ。

こういう艦の動きと応力の分析、設計と強度についての考え方は、

数百年前から何も変わっておらん。

良いエンジニアと言うのは、こういった経験を積み、

大事にすることが非常に大切なんじゃぞ。」


オットーは分かっている…という言葉を飲み込み、うなずいた。


「それにしても、イリーナがこの艦に来ておる様じゃな。」


「イリーナ?ああ、ソニアの先輩だったか、関係者ですね。」


「彼女は儂以上にこだわりを持っておるぞ。」


「一緒に仕事したことがあるのですか?」


「まあな。儂が、艦の性能向上にこういう設計が良いというと、大体彼女が、

否定をしてくる。艦の性能よりも、その間に乗る乗員の居住性を重視しなければならない、とな。」


「そうだったんですね。」


オットーは、ハインツの言われた通り、接合補助鋼材を当て、

溶接し、その部分の強度を確保する作業を行っていった。


その作業をハインツはチェックしている。


「まあ、彼女は気が強いというか、言う時は言うというか、その様な人物じゃな。」


「ソニアは、その様なイリーナさんをこの艦に招待して、船の内装を見てもらうんですかね?」


「そうだな、彼女はいい意味でも、悪い意味でも、おせっかいの所があるからな。」


「おせっかい?」


「まあな。」


「??」


しばらくして、オットー達は、拡張リビングデッキの接合作業を終えて、

艦に戻ろうとしたところ、イリーナと、ソニア、艦長ジュンの3人が格納庫から、

小型移動ポットに乗って、外に出てきた。


オットーやハインツ達は、惑星に帰るのか、と思ったが、小型ポットがこちらにやって来た。


そして、無線装置で艦長が話しかけてくる。


「オットーさん、いや、オットー、作業ご苦労様です。

土地全だが、ソニアの軍時代の先輩のイリーナさんが、

今度仲間になることになった。


艦のコーディネートを行いたいそうでね。」


そこまで話すと、

無線装置から、イリーナが話しかけてくる。


「イリーナと申します。あっ、あなたがこの艦のエンジニアね。

ちょっと聞いてちょうだい、リビングエリアをこうゆう風にしてほしいのよ。

それは…。」


話は一方的に進められた、というか、イリーナが1人でほとんど話していた。


「おい、やめないか、イリーナ。」


「この声は、ハインツね。」


「イリーナは相手がハインツだとわかって、

次々と、艦のインテリアなどについての要望が飛び出した。」


「わ、分かったから、艦の中で話そうか。」


ハインツはベラベラと話しかけてくるイリーナの会話を一旦ストップし、

艦内で話す様促した。


「あら、そうね。この続きは、ラウンジで話しましょう。」


ここにいた全員は、一旦艦に戻ることにした。


艦に戻る途中、艦長が、

「イリーナさん、我が艦に乗船することになったから。」

と、一言と話した。


ハインツの、

「大変だね。」

という言葉が、オットーには印象的だった。

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