7. 迷子の犬を求めて(後編)
7. 迷子の犬を求めて(後編)
ジュンは地下2階に降りてきていた。
モディフィケータの地図では、この下に、目的の迷い犬がいる。
地下2階に降りてきた途端、早速巨大ナメクジの群れが。
20匹以上いる。
当然、塩を使って討伐する。
ジュンは追加でモディフィケータを使い、追加の塩の袋を調達。
全ての巨大ナメクジに塩をまく。
案の定、巨大ナメクジは体を溶かし、動かなくなる。
この階ははっきり言って巨大ナメクジ祭りのフロアだった。
モディフィケータでこのフロアのマップを確認しながら、
地下3階へのスロープに向かう。
Y時分岐を右、そしてその先の十字路をまっすぐ言った後、次の十字路を左、
そして、逆Y時分岐を左に行った後、T字路を右。
そして、地下3階へのスロープの部屋に到達する。
それまでに、巨大ナメクジを100匹以上は倒した。
レベルは相当上がった。
ジュン LV14
職業:戦士
HP 211 / MP 84
攻撃力 55
守備力 36
素早さ 29
魔力 31
運 2
経験値:5481
所持魔法:
微小回復魔法、
600円までの日用品を調達する権限。
60㎏までの荷物を分子レベルで分解し、空間に保管する権限。
(おお、空間収納の能力が、重さ制限があるとはいえ、解放されたか。)
ジュンは、地下3階へのスロープを降りていく。
地下3階も似た様な迷路構造になっていたが、
モディフィケータの地図モードによって、
どこに目的の迷い犬がいるか、確認することができる。
(ええと、この通路のさきのY字路を右に行き、その先の十字路を左、そして、T字路を右か。
その先の小さな部屋の様な所に、反応があるな。)
ジュンはゆっくりと迷路を進んでいくが、
ここでのモンスターは巨大なミミズだった。
(うわー、ミミズか。ゲームの開発エンジンで、
自動でダンジョン等にモンスターを割り振る機能があるからな。
この機能に任せるだけではなく、自分でモンスター出現地域を割り振りすればよかった。)
巨大なミミズは、うねうねとこちらに近づいてくる。
(皮膚はそこまで堅そうではないな。)
試しにショートソードで攻撃してみる。
貫通はしなかったが、胴体が半分に切ることができた。
中からは、内臓や泥の塊が出てくる。
ジュンは見なかったことにして、再度、巨大ミミズの胴体を攻撃する。
今度は切断することができた。
次々と現れた、巨大ミミズをとりあえず、胴体を輪切りにして倒した。
いや、輪切りにした後、巨大ミミズは暴れ、そしてしばらくすると動かなくなる。
それを待って、完全に倒したことを確認した。
(これも回収しなくていいな。)
モディフィケータの地図モード通りに進み、途中で現れた巨大なミミズを倒しながら進むと、
小さな部屋に、黒いぶち模様の犬が倒れ、近くで白い犬がなめていた。
黒いぶち模様の犬は弱っていたが、足を怪我しているらしく、その部分を白い犬はなめている。
モディフィケータで、皿とミネラルウォータを与えると、2匹とも水を飲んでくれた。
(本当は餌を与えたいんだけれど、モディフィケータで、調達できないんだよね。)
2匹の犬は落ち着いたのか、黙ってジュンの前に座っている。
ジュンは必死に2匹の犬に、モディフィケータで調達した布袋を見せ、
長く歩けない黒いぶち犬をこの袋に入れ、背負って地上に戻る旨、説明する。
2匹の犬は舌を出し、ハアハア言いながら首を振る。
(わかってくれたのかな?)
ゆっくりとけがをした黒いぶち犬を袋に入れ、ジュンが背中に背負う。
犬は暴れない。
そしてゆっくりと立ち上がり、部屋を出ようとすると、白い犬がついてくる。
「そのままついてくるんだぞ。」
と声をかける。
途中、現れた巨大ミミズやナメクジ、ゲジゲジを倒しながら、何とか地上に戻ることができた。
雑木林の中で、野ウサギが再度現れたが、白い犬が加勢して素早く動き、かみつき、
サポートしてくれる。
そして、途中で倒したモンスターを空間収納で回収しながら、
雑木林を出ることができた。
ジュンは夕方になった空を見上げる。
こうして、ジュンと依頼の迷い犬、そして白い犬と町まで戻ってくることができた。
途中、迷い犬を飼い主に届け、依頼完了書を受け取る。
迷い犬を届け、ジュンが帰ろうとすると、2匹の犬は悲しそうな顔をするが、
白い犬はジュンについてきた。
そして、依頼完了書をギルドに提出して、報酬を受け取る。
そして、ダンジョンで倒したモンスターを売りたい旨、報告すると、
ギルドの受付が、まだ発見されていない新ダンジョンであることを説明し、
カウンターの奥に消えていった。
そして、一人の中年男と一緒に戻ってきた。
「ギルド長のゼニスだ、よろしく。」
なんとギルド長だった。
ジュンは、ギルド長室に連れていかれ、
部屋で、応接用の椅子に座るよう促される。
白い犬は、おとなしく、椅子の隣に座っている。
「まあ、Gランクでダンジョンに入り、モンスターを倒し、戻ってくるとは。
迷い犬がダンジョンに入り込んでいたことも意外だったが、まず、よく犬がどこにいるか分かったな。」
「いろいろな人に聞き、そしてダンジョンを見つけたのです。
強いモンスターが出てくる場合、慌てて引き返してくる予定でした。」
「Gランクはダンジョンに入ってはいけないというルールがあるのだが。」
「すみません、把握していませんでした。」
「でもまあ、よく戻って来た。ダンジョンのモンスターの買取をしたいと言っていたな。」
「はい、そうです。巨大な長い足を複数持つモンスターと、あとはそのダンジョン周辺で倒した野ウサギです。」
(巨大ナメクジとミミズのことは黙っておこう。)
「特例ではあるが、GランクからFランクに上げよう。
ダンジョン捜索はFランクからだ。
中を捜索して戻ってこれるということは、Fランクの能力は十分あるということだ。」
「ありがとうございます。」
ギルド長との面会の後、依頼報酬と野ウサギと巨大ゲジゲジのモンスター引き取りで、
総額67500オロを得ることができた。
ギルドを出てから、ジュンは途中の肉屋で骨と、
細切れの肉を調達。
これは白い犬の餌にする予定。
宿に戻ると、受付で中年の女性に、白い犬を部屋に連れてってよい許可をとる。
まあ、小さくておとなしくしていたからOKしてくれたのかも。
部屋で白い犬に骨と肉の餌をあげてから、下のレストランで食事をとる。
そして部屋に戻ってくる。
部屋に戻る頃には、白い犬はすべて餌を平らげていた。
「いつまでも白い犬ではかわいそうだから名前を付けなければいけないな。
うーん、名前はシロで良いか。」
白い犬は尻尾を振っている。
こうして、ジュンは白い犬、シロと明日以降一緒に行動することになった。




