71.シフト勤務
71.シフト勤務
宇宙空間では昼と夜が無い。
まして、この間に乗艦している場合、
運航など必ずだれか起きて、
コクピットで操艦業務につかなければならないので、
一日の生活リズムが崩れやすくなる。
まだクルーが少ないので、多くのシフトにつかなければならず、
そういったところを改良していきたい。
ということで、今の時間、技師のオットーと2人で業務に就いている。
2人は眠気を起こさないためという目的もあり、たわいない会話をする。
「艦長、コーヒー持ってきたのですが、ここに置きますね。」
オットーはそういうと、操艦席に座った。
「ああ、ありがとう。」
「眠くないですか?」
「正直眠い。まあ、元々プログラマという職業で、
不規則な生活はしていたんだけどね。」
「そうですか。艦のプログラムもある程度分かる専門家ということですね。」
「そんなことないよ。まあ、艦のことをコンピュータ任せにせず、
早くいろいろなことを覚えていかなければならないんだけどね。
ところで、Mr.オットーは、惑星工学専門だったね。」
「専門家と言っても、何でも屋ですね。
艦の設計もしていましたし、試験、改造、操艦、何でもしていました。
まあ、でもしいて言えば、艦の機関エンジニアが専門といったところですか。」
「そうなんだ。」
オットーは、操艦用コンソールの他に、艦の構造機関ファイルを開き、何か考え込んでいる。
「どうしたんだ?」
「いえ、明日にはゾルタン星に着くので、艦の拡張ユニットを連結予定ですが、
その時に艦の強度も高める改造を行えればと思っているんです。
どうしたら、効果的に強度を上げられるか、考えていたんです。」
「そうなのか。」
「あそこはデッキが無いので、大規模なオーバーホールはできないので、
拡張ユニット連結作業工程をどうしようかについても、考えているんです。
効率が悪いが、作業用ロボットを使うしかないかな。」
「作業用ロボット?」
「前にゾルタンの衛星ステーションに行ったとき、あったと思うんだよなー。」
オットーは考え込んでしまった。
その時、リリルがコクピットに入ってきた。
「艦長は大変ねー。」
リリルは、まだ口をつけていなかった、
オットーが入れてくれたコーヒーを一気に飲み干す。
「ちょっと!」
「え?飲んじゃダメだったの?」
「Mr.オットーが入れてくれたんだよ。」
「あっ、ごめん。」
その時オットーは気を利かせて、
「また艦長用に入れますよ。
ところで、Mr.はいらないですよ。私の名前に。
気軽にオットーと呼んでください。」
「わかった。」
オットーは、コーヒーを取りにコクピットを出た。
「なんだか悪いことをしちゃったわね。」
「そうだよな。オットーに今度何か、おすすめの飲み物を出そう。」
オットーがコーヒーを入れ、戻ってきた。
コーヒーを艦長席のサブテーブルにおいてくれる。
「オットー、ありがとう。」
「いえ。」
オットーは少し照れくさそうにしていた。
「ところで、リリルさんは、艦の操縦マニュアル読まないんですか?」
リリルはしどろもどろになり、
「い、いや、私、こういったものが苦手で。」
そういえば、子爵とリリルについて、
艦の役目を決めていなかったことにジュンは気づいた。
ジュンは少し考えてから、
「リリルは保安関係をするというのはどうだ?
戦闘訓練は積んでいるんだろう?」
「確かに戦闘訓練はしているけれど。」
ジュンは、リリルがジェネレータで作った剣で訓練をしているところをよく目撃していた。
「じゃあ、決まりだな。
レーザー銃の訓練もしなければな。」
「…。」
リリルは黙ってしまった。
「ところで、子爵は何をするの?」
「そうだな、交渉役、参謀かな?
彼は、人の行動を見て的確な意見を述べてくれるからな。」
「勉強、大変そうね。」
リリルがその様に言う。
「アーチバルドさんなら大丈夫だよ。」
ジュンはそういう。
その後、オットーは操艦と艦の改造、
ジュンはリリルに、わかる範囲でこの艦のことを教え、
時間が過ぎていった。




