6. 迷子の犬を求めて(中編)
6. 迷子の犬を求めて(中編)
ジュンは宿屋に確保している自室で、どうやってターゲットの迷い犬を探すか悩んでいた。
もう夕方なので、捜索は明日からする予定だが。
宿屋に備え付けの椅子に座り、モディフィケータをいじりまくっている。
(これって、特定のモンスターが出現する位置を特定する機能があったはずだが。)
まず、犬の特徴を入力してみる。
(白黒のぶち犬。レオンの町周辺。顔は長く、目の周りは黒、そして鼻の周辺は白い犬。
そして、飼い主にもらった、似顔絵をスキャンさせるっと。)
検索をかけると、出てきた。
(あの犬、ジョセフィーっていうのか。
場所は、かろうじてモディフィケータのレオン周辺の地図に引っ掛かる範囲か。
ここは雑木林の所で、ん?ダンジョンか?地下だな。地下3階か。
このモディフィケータ、権限で制約がかかっているが、
断面モードで、上下方向で目的物がどこの階層にあるのか、見ることができる。
おおよその場所は分かった。
翌日、そこを捜索することにする。
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翌日。
ジュンは宿屋で朝食をとった後、
昨日検索をした、雑木林の地下ダンジョンに行ってみることにした。
(今の所持金、6740オロで買える防具や武器があったら、購入して初ダンジョンの探索に備えよう。
確か、武器防具屋、冒険者ギルドの斜め向かいにあったな。)
早速、武器防具屋に行ってみる。
結論から言うと、今持っている装備、鉄の短剣、皮鎧、小回復ポーションx2のうち、
武器と防具は、鉄の長剣127000オロ、鎖帷子288000オロ、皮の盾45200オロと高くて手が出なかった。
(まあ、危なくなったらすぐに引き返せばいいわけだし。)
まずは、様子を見に行ってみることにした。
ジュンは町の南門を出て、街道沿いを歩き、畑が無くなったところで、雑木林が現れる。
ジュンはモディフィケータの地図を頼りに中に入っていく。
雑木林の中では、野生の野ウサギがモンスター化し、頭に生えている角で襲い掛かってくる。
ジュンは持っているショートソードを思いっきり飛んでくる野ウサギにむかって振る。
野ウサギはショートソードにぶつかり、地面に落ちる。
これが致命傷になったのか、野ウサギは血だらけになり、動かない。
(これって、ギルドで買い取ってくれるんだよな。)
とりあえず、モディフィケータでゴミ袋を調達し、野ウサギを中に入れる。
ダンジョンにたどり着くまでに、野ウサギ4匹を狩る。
幸い、他のモンスターは出てこず、その都度、野ウサギをゴミ袋に入れて保管する。
(ん?レベルが上がって、権限が更新されているな。
300円→600円までの日用品の権限を開放か。)
ダンジョンの入口は、傾斜地に洞窟の様な穴をあけており、
半径50㎝程の穴だった。
中は暗い。
早速ジュンは、500円のLED懐中電灯2本とガムテープをモディフィケータで調達する。
LED懐中電灯をガムテープで皮鎧の肩の部分に括り付けて中に入る。
ダンジョンの中は、入り口だけは狭かったが、すぐに広くなり、
人ひとりが難なく歩けるまでの大きさになる。
ジュンはモディフィケータの地図を確認する。
(ココが地下1階か。ここをしばらく直進して、1つ目のY分岐を右、そして地下2階へのスロープか。)
通路がちょうどY分岐するところで、ゲジゲジのお化けの様な大きい、たくさんの足を持ったモンスターが現れた。
(うわー、胴体が短く、足が長いので、ムカデではなく、ゲジゲジだな。)
巨大なゲジゲジは素早い動きで、たくさんの長い足を動かし、こちらへ向かってくる。
それも2匹同時だ。
ここY分岐の所は、広く16畳程の空間だったが、避けるのが精いっぱいだった。
よく見ると、足が長い割には細いので、ショートソードで足を攻撃することにした。
ジュンはよけながら、足を攻撃する。
すると、数本、足がもげる。
こうしたアクションを数回繰り返すと、2匹ともバランスを崩した。
1匹は足の本数が左右でバラバラになったためか、ぐるぐるその場をまわり続けている。
もう1匹は暴れるが動けない様だ。
ジュンはさらに足を攻撃し、とどめを刺す。
ついに2匹とも動かなくなった。
ジュンは、いやいや足で2匹の大きなゲジゲジを、ゴミ袋に入れる。
そして後で持って帰るため、その場に放置する。
その後、ジュンは地下2階へのスロープまで歩いていくが、
スロープの手前で、モンスターが現れた。
巨大なナメクジ5匹だった。
幸い動きは遅い。
(塩だな。)
ジュンは素早くモディフィケータで塩の袋を調達。
袋を破り、目の前の巨大ナメクジに向け、塩をまく。
巨大なナメクジに塩がかかったとたん、体が溶け始める。
そして動かなくなる。
(これは回収しなくていいか。)
ジュンは地下2階へのスロープを降りていく。
 




