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4.カボチャの捕獲

4.カボチャの捕獲


掃除の依頼をこなした翌日、ジュンは冒険者ギルドに向かう。


(手持ちのお金が500オロでは、心もとないからな。)


冒険者ギルドに着き、建物の中に入ると怒鳴り声が聞こえる。


「これは私が受けた依頼なの!横取りしないで!」


「いやいや、この依頼は元々私たちが受諾した依頼ですよ。

横取りはそっちでしょう?」


(ん? あれはエルフの戦士? それと、3人のパーティーが揉めてるな。)


依頼ボードの前でエルフの女戦士と、

ドワーフの女戦士、人間の司祭、コボルトの魔導士、3人パーティーが揉めている。


「リーダー、やめてくださいよ。神が見ています。」


「そうだ、まだ他にたくさん依頼が出ているじゃないですか。そちらから探しましょう。」


「いやいや、この依頼を達成するのに、我々3人で2昼夜かかるものに対し、報酬が32万オロ。

報酬を時間で割って、最も時給が良いのはこの依頼ですよ。

ここで引き下がってどうするんですか。」


ジュンのすぐ後ろにいた冒険者達もその様子を見ている。


「また、あの二人、揉めてるのか。

リリルはおおらかで、すぐカーッとなる性格に対し、

ドノバンは理詰めで細かい性格だからな。

すぐぶつかる。」


ジュンはその後も聞き耳を立てていると、

エルフの女戦士はリリル、

3人パーティーのコボルトの魔導士がリーダーでドノバン、

ドワーフの女戦士はジュガ、人間の司祭はルードと言う名前らしい。

全員Cランク。


リリルとドノバンは犬猿の仲らしい。


(まあ、俺はGランクだからな、Cランクの依頼は受けられない。)


リリルとドノバンの言い争いを横目で見ながら、Gランクの依頼ボードに貼ってある、

受けられそうな依頼を探す。


(ん?これはどうだろう?)


ジュンは1枚の依頼カードに目が留まった。

それは、畑の収穫を手伝う依頼だった。


(報酬は6400オロか。これがGランク依頼の中では一番高いな。これにしよう。)


ジュンはこの依頼を受付に持っていき、依頼を受けることにした。


前回掃除の依頼を受けた時のコボルトの受付はいない様だった。

ジュンは、依頼を一番並んでいない中年男性が受付をするカウンターに持って行った。


「この依頼を受けるの?

相当な体力がいる仕事だよ、大丈夫?」


確かに畑仕事は体力を使うが、ジュンはモンスターを討伐する仕事よりは…と思うが、なぜ?

と一瞬思う。


「もう一度確認しますが、受けるのですね、この依頼を。」


ジュンはうなずく。


「わかりました。この収穫を手伝う畑は、町の北側出口の門を出て、左側にある農場だからね。

農場主は、門を出て最初に左側にある建物にいる、ホセと言う男だ。」


ジュンは言われたとおり、モディフィケータの地図を確認しながら、

冒険者ギルドを出て、町の北側の門を出て、10分ほど歩いたところにある農場主のホセの家に向かった。

ホセの家は、納屋があるそこそこ大きい家で、ジュンはドアをノックする。


やがてドアが開き、一人の女性が顔を出す。


「あの、収穫の依頼を受けた冒険者ですが、ホセさんのお宅ですか?」


「そうです、今夫を呼んできますね。」


そう言うと、女性は家の中に入り、一人の男性を連れてくる。


「やっと依頼を受ける者が来ましたか。私がホセです。」


ホセはジュンに対し、挨拶をする。

ホセは腰が低いようだ。


「依頼なんですが、ボチャの収穫を手伝ってもらいたくて。

畑はあちらです。」


ホセに畑を案内される。


「ここのボチャ畑なんですが。」


ボチャ畑は、直径30cm程のオレンジのカボチャで、

ハロウィンで使うようなカボチャだった。


なんか、目と口の様なくぼみがあり、本当にハロウィンのカボチャだ。


「このカボチャを収穫して、あちらの牛荷馬車に積んでください。」


ホセとジュン2人でボチャの収穫作業を始める。


ジュンはボチャにつながるツルを着ると、

突然ボチャが飛び跳ね、大声を出してピョンピョン逃げ回る。


「これはモンスターなんですか?」


「いや、普通のボチャですよ。町のレストランでパイなんかあるでしょう?

なぜ、当たり前のことを聞くのです?」


この世界のカボチャは、顔があって、収穫時にピョンピョン飛んで逃げ回るらしい。


ジュンは畑を駆け回り、やっとの思いでボチャを捕まえる。


「お、重いですね。」


「そうでしょう。今年は良く実りました。」


10kgほどある。


「あっ、そうだ。

下手の所にダガーを差してください。鮮度を保つための活〆です。」


なんか魚みたいだ。


逃げようとするボチャを強引にがっちりとホールドし、

牛荷馬車にあるダガーで活〆をする。


そして、飛び跳ねなくなったところで、馬車に積み、

他のボチャの収穫、いや捕獲をしていく。


(確かに疲れるわ、これ。

それに、こんなカボチャ、知らないぞ。AIが勝手に生成したのか。)


結局、日が沈むまでに42個、いや42匹のボチャを捕獲、収穫した。


ジュンは、へとへとで体中が痛かったが、依頼完了の証明書をもらい、

ギルドで換金し、6400オロを受け取り、宿屋に戻った。

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