41. 脱獄
41. 脱獄
「ちょっと何をしているんですか?」
ロミィがこちらを見て、訪ねてくる。
ジュンは、液体の入った噴霧器の細いノズルの部分を鍵穴に刺し、
ドアの隙間に、ガムテープで目張りをしていく。
「ちょっと吸ったらマズい物が、この装置から出るのでね。」
ジュンはドアに、ガムテープで目張りをした後、装置を動かす。
すると、みるみる噴霧器の中の液体が気化し、白い煙となる。
「よし、では、放出するぞ。」
ジュンは再び噴霧器を操作すると、ノズルのチューブ内を、
白い煙が流れていく。
20分ほどで、気化したガスがノズルを通し、ドアの向こう側に放出された。
「OK、少し待つ必要がある。」
それからさらに20分ドアの向こう側で2人は待つ。
「もういいかな。一応これをつけておいてくれ。」
ジュンはロミィにガスマスクを渡す。
「こうやってつけるんだ。」
ジュンがお手本を示す。
そして、ロミィもそのお手本に従い、マスクを装着する。
ジュンはその様子を確認した後、鍵穴の噴霧器のノズルを外し、
超小型赤外線カメラで、ドアの向こう側を再び確認する。
「OK。では行こう。」
ジュンはドアのガムテープの目張りを一気にはがし、
ドアを開ける。
案の定、老の警備兵3人は寝ており、起きない。
「大体目覚めるまで4時間かな。人を眠らせるガスを使ったんだよ。」
「でもそれって、この中の囚人も寝ているってことですよね。」
「まあね。でも、この薬を飲ませればいいから。」
2人は、警備兵の1人が所持していた鍵束をとり、
アーチバルド子爵とその執事のハンスを探す。
「いました。」
ロミィは、2人の牢を見つけ、手を振る。
ジュンがその牢の前に来て、確認をすると、確かに、
アーチバルド子爵とその執事のハンスだった。
2人は隣の牢同士で、睡眠ガスの影響で寝ている。
「36番と37番だな。」
ジュンは2人の牢番号を確認し、入手した鍵束からその番号の鍵を探し、
鉄格子のドアを開ける。
そして素早く、着付け薬を飲ませる。
10分ほどして、2人は意識が戻ってきた。
「こ、ここは?」
「助けに来ました。」
「そ、そうだったな、私たちは捕らえられていた…」
「とにかく急いでここを出ましょう。」
ロミィとジュンは、2人に肩を貸し、牢から出る。
そして、地下水道につながる通路に向かう。
「ちょっと待ってくれ。」
ジュンはそういうと、上の階の城につながる、
鉄格子のドアの鍵穴を、エネルギーフェーザー銃で破壊した。
「まあ、時間稼ぎだ。」




