3.掃除でレベルアップ
3.掃除でレベルアップ
冒険者ギルドで厨房の掃除依頼を受けると、
その足でクライアントのレストランへ、モディフィケータで地図を確認しながら向かった。
レストランは冒険者ギルドからほど近く、歩いて5分位の所だった。
早速レストランに入り、ウエイターを見つけ、声をかける。
「ああ、来てくれたか。ここから入り、厨房に向かってくれ。
依頼主は体格の良いコック長だから、コック長に依頼を受ける旨、話してくれ。」
ジュンは言われたとおりに、厨房に入り、一目で体格の良い、筋肉質の背が高い男に話しかけた。
「ああ、やっと来たか。この厨房にいるアレは、女性が嫌がってね。
あと、まあ汚れを扱う仕事だから、あまり受ける人がいなかったんだ。
そうだな、厨房の隣の食料倉庫と、営業が終わってから、この厨房の清掃をしてほしい。
ブラウニッシュスライムが一匹も出ない様にしてほしい。」
詳しくコック長から話を聞くと、ブラウニッシュスライム(こげ茶色のGの様なスライム)が出るらしい。
清掃道具はたわしの様な物と液体?の様な物が入った瓶を手渡された。
液体の様な物は微妙に泡立っている。
モディフィケータでその液体を確認する。
<ジロクムのアルカリ水溶液>
この地域周辺でとれる、サポニンを含む植物の実。
アルカリ性で汚れを落とす。
(いわゆる、台所用石鹸か。)
ジュンは、この液体をたわしに着けて試しに厨房でこすってみる。
現実世界にあるクリーナーほどではないが、力を入れれば汚れが落ちる。
その様子を見ていたコック長から、
「営業が終わってからしてくれ!」
と言われてしまった。
という訳で、倉庫にあった清掃用具で、棚を吹き、床を掃き、
先に食糧倉庫を片付けた。
この時点で、レストランの閉店まで、2時間なので、一旦宿屋に戻り、
改めて2時間後、レストランに戻ってきた。
コック長はジュンに、
「あとは清掃をよろしく頼む。」
と言い、予備の鍵を渡され、帰ってしまう。
ジュンは誰もいない厨房で、掃除を始めることにした。
厨房に誰もいなくなると、
なんだか、Gと同じ半透明の茶色で液体?ぽい物がうねうねと、
動いている。
(これが、ブラウニッシュスライムだな。)
ジュンは、ジロクムのアルカリ水溶液を使って、
このスライムにかけると、なめくじの様に縮んでいく。
12匹くらい倒したところで、レベルが上がる。
更に24匹倒したところで、もう1つレベルが上がる。
ここで、微小回復魔法を覚えた。
それと同時に、
『300円までの日用品の権限を開放します。』
(え?)
ジュンは試しに、モディフィケータで某有名台所洗剤とスポンジを購入してみる。
すると、『承認』の文字が現れ、
ジュンの目の前に、台所洗剤とスポンジが現れる。
MPは0から20に上がったが、台所洗剤1つで4ポイント、スポンジ1つで2ポイントのMPを消費する。
(え? レベルアップすると、値段制限はあるが、現実世界の物を取得できるの?)
それからのジュンの掃除、ブラウニッシュスライムの討伐は早かった。
現実世界の台所洗剤が染みついたスポンジで、ブラウニッシュスライムをこするとあっという間に消滅した。
汚れもすぐに落ちる。
だいたい3時間ぐらいで清掃完了。
翌日の朝、コック長に依頼達成を報告し、依頼完了証明書にサインをしてもらい、
ギルドにその紙を渡し、依頼完了することができた。
報酬は500オロ。




