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30.王都の商人マルサン

30.王都の商人マルサン


翌日、早々にサマルトル子爵に感謝の意を告げ、リリルと館を出る。


町の門を出てしばらくするとリリルが、


「あそこに少しでも長居したら、私的な警備隊への入隊をまた催促されるからね。」


少し間をおいて、


「私は大勢の人の中で戦うのが苦手なのよ。」


という。


2人は足早に王都サザリアへ続く街道を歩く。


しばらくすると雨が降ってきて、やがて土砂降りになった。

2人は街道の脇にある大きな木の下で雨宿りをする。


「これは、しばらく止まないわね。」


「ちょっと待って。」


ジュンはそう言い、日用品を購入する能力から、透明のビニール傘を調達する。

傘を出し、そして開いてみる。


「うん、使えるな。 これは俺の魔法だ。」


「魔法で、この様な物を出す能力ってあったっけ?」


「まあ、俺が研究して作り出した魔法だからな。」


「そんなに魔法に詳しかったの、ジュンは。」


「まあね。」


ジュンは日用品に関しては、54000円まで調達できる様になっていた。

ビニール傘は、価格的にも余裕で調達できる。


「この魔法で出したものは、ここを持って頭の上にかざせば、雨の日だって濡れないよ。」

2人は傘をさし、雨の街道を歩き始めた。


「本当ね、濡れない。視界も思ったほど悪くはないし。」


この世界、傘の様なものはなく、動物のなめし皮を、頭にかぶる。

ただ、皮のつなぎ目等から雨水が入ってくる。

この傘は、よほどの横殴り雨でない限り濡れない。


2人は3時間ほど歩いていると、隣をものすごい勢いで馬車が通過したが、

2人の先の方で停車する。


馬車が止まると、雨が降っているにもかかわらず、1人の小太りの男がこちらに走ってくる。


「そ、それは何だ?」


ジュンは説明を少し考えると、


「これは私の魔法で作り出した、雨に濡れない道具です。」


「そんなものがあるのか!?」


「だれなんですか?あなたは?」


リリルが質問をする。


目の前の小太りな男は改まって、


「マルサン商会のマルサンといいます。」


「要するに商会の当主が、この魔法で作り出したものに興味を持ち、

馬車を止め、こちらにやってきたということね。」


「そうなります。 

ちょっと触らせてもらえませんか?」


マルサンはジュンの傘に手を伸ばし、触っている。


「恐ろしく細くて軽い鉄の骨に、透明な膜。これは何だ?

スライムを乾燥させたものか?」


「リリル、スライムを乾燥させると、この様に透明な膜になるの?」


「そうね、そういうものがあるわね。」


「私のところでも、売られていますよ。食用ですが。」


「食用!」


「まあ、好き嫌いがあるわね、あの食材は。私は嫌い。」


話を聞くと、透明なスライムの干物?は、

あぶってスルメイカみたいにして食べるらしい。


「とにかく、このあと王都にある本店まで戻る予定で、

この先の町まで私の馬車でどうですか?

その間に、それを観察させてもらいたいのですが。」


「王都ですか?私たちも、王都まで行く、ある人を追っていたのですが、

馬車に乗せてもらえると、ありがたいです。ジュン、いいわよね?」


ジュンは苦笑しながらOKした。


「ところで、ある人を追っているって言ってましたが、

犯罪がらみじゃ…」


「違いますよ。実はある人物を護衛していて、襲ってきたものを別動隊として、ゼレスの町へ届けていたんです。

その間、別の者が先に対象者を護衛しているという訳で、私たちは、対象者に合流するため、

追っているのです。」


「そういうことですか、分かりました。乗ってください。」


マルサンは、自分の乗っていた馬車に促す。


「「ありがとうございます。」」


2人はお礼を言って、マルサンの馬車に乗り込んだ。

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