29.3人の誘拐された女性の正体
29.3人の誘拐された女性の正体
警備隊から事情を聴くと次の通りだった。
実は3人の女性はゼレスの町の子爵の斥候で、
最近被害報告の多い、盗賊団、烏の目のアジトを探るため、
峠を行き来する駅馬車に乗り込み、警備をしていた。
案の定、駅馬車に盗賊団が襲ってきて、
3人はわざと誘拐されることになった。
3人はアジトの洞窟を確認した後、
抜け出し、ゼレスの町へ向かった。
その後入れ違いで、ジュン達がアジトの洞窟を見つけ、盗賊を殲滅したらしい。
リリルは盗賊の首を出すと、
間違いなくリーダーとのこと。
2人で30人近くの盗賊を倒した旨伝えると驚かれた。
警備隊の中に、斥候の情勢3人がおり、改めて自己紹介をしてもらった。
「斥候のリーダー、サーシャです。」
「斥候をしているミリです。」
「同じく斥候をしているローラだ、すごいな、あれだけの人数を2人で倒すとは。
間違いなく、褒賞が出るぞ。」
その後、盗賊のいた洞窟で、警備隊と一緒に見分を行った後、
ここでキャンプを行うことになった。
魔法で極度の目に刺激を与えるガスを洞窟の中に発生させた旨を、
警備隊長に伝えると、
翌日洞窟内の見聞を行うことになった。
翌日、催涙ガスの影響が落ち着いた洞窟の見分を行い、盗品を回収したのち、
リリルとジュンは、警備隊と一緒にゼレスの町へ向かうことにした。
峠を超え、半日近く、山を下っていくと、ゼレスの町があり、
警備隊長が門番に向かって手を挙げ、町の中に入っていく。
ジュンは町の入場許可を取ろうとすると、
サーシャが手で制し、許可は必要ない旨伝える。
町はレオンの町とほぼ似たような規模で、宿屋や冒険者ギルド、
武器屋や防具屋、道具屋、魔法屋等がある。
当然酒場もある。
「一杯やりたい気分だ。」
とリリルが酒場を見て、ボソリといる。
15分くらい町の中を進むと領主の館が見えてきて、
警備隊長の合図で、門番が門を開く。
屋敷の門の前につくと、警備隊長が屋敷から出てきた男に何やら報告をする。
サーシャが、
「あの方がこの町の子爵のサマルトル卿よ。」
と教えてくれる。
ジュン達はしばらく待った後、
サマルトル卿に謁見し、今回の出来事を報告することになった。
ジュンとリリルが案内された部屋は屋敷を入ってすぐの部屋で、
大きな暖炉や、複数の鎧、大きなタペストリーなどがある部屋だった。
しばらくすると、サマルトル子爵とサーシャが部屋に入ってくる。
「この度の活躍はサーシャから聞いた。とても有能な冒険者だ。
わが隊に欲しいところだ。」
「恐れ多いお言葉をいただき恐縮ですが、優秀なものはたくさんおります。」
リリルはやんわりと断った。
「ところで、アーチバルド子爵からも、そなたたちのことは聞いている。
アーチバルド卿は、先に王都サザリアに向かうと言っておったぞ。」
「そうですか。」
ジュンは答える。
「今日は遅いので、この町の宿で休んだのち、明日の早朝、
すぐにアーチバルド子爵を追うわよ」
とリリルは言う。
「この町の宿に止まらずとも、今日はこの館に泊まっていきなさい。
この町の恩人だ、歓迎する。」
とサマルトル子爵は言う。
2人はお言葉に甘え、サマルトル子爵の館に泊まることにした。




