24.アーチバルド子爵
24.アーチバルド子爵
依頼を受けた翌日、リリルと待ち合わせて、
冒険者ギルドに来ていた。
昨日、鉱山探索などの依頼達成によって、
ジュンはEランクへ昇格、そのEランクのカードを受け取るために来ていた。
そこで、待ち合わせていたリリルを見つけ、
改めて子爵の屋敷へ向かう。
町の中央の通りを進んでいくと、屋敷が見えてくる。
屋敷の門の前まで来ると、警備兵の門番が2名おり、
護衛の依頼を受けたことを伝える。
「話は聞いている、通って良し。」
と門番は言い、門を開いてくれる。
2人は屋敷の庭を歩き、玄関前で掃除をしていたメイドに、
護衛依頼を受けた旨話をすると、
掃除をやめ、屋敷の応接室へ案内してくれた。
「ここでしばらくお待ちください。」
とメイドは言い、退室する。
「昨日も聞いたかもしれないけれど、子爵ってどんな人? 」
「一言でいうと、とても良い人だ。」
「良い人?」
「まあ、会ってみればわかる。」
10分ほど待っていると、領主が現れる。
「待たせたね。君はリリル君だったかな?」
「そうです。」
「よく覚えているよ。
2年前、娘の薬の材料採取の時、お世話になったね。」
「はい、覚えていただいて光栄です。」
「で、君は…」
子爵はジュンの方を向く。
「ジュンと言います。リリルとパーティーを組んでいます。」
「そうか、ジュン君、よろしくね。」
「子爵、よろしくお願いいたします。」
「では依頼内容を話そう。
王都サザリアへ行く用事があってね、
明日から、護衛をお願いしたいんだ。
護衛に当たっては、2つ懸念点があって、
最近活発化している盗賊団、烏の目が多く出没する峠を通らなければならないこと、
そして、ワイバーンの目撃情報がある渓谷を通らなければならないんだ。
だから、今回護衛を雇うことにした。
我々は馬車で向かうので、その周りを警護してほしい。」
リリルは、
「あの峠と峡谷ですか?
王都までの直線ルートではなくて、ボルツの町を経由した方が、
安全なのではないですか?」
と聞く。
それに対し子爵は、
「急用の会議が王城であってね、どうしても、最短で行きたいんだ。」
リリルは、
「そういうことでしたか。全力で護衛します。」
と承諾する。
その後、明日の待ち合わせ時間を再確認し、
領主の館を後にした。
帰り道、リリルが、明日の護衛のための買出しに付き合ってくれることになった。
リリルは、武器屋でロングソード、防具屋で鎖帷子を勧めてくれたが、
装備が重くなることを避けたい旨伝え、結局のところ何も買わず、店を出た。
店を出たところで、リリルと別れ、
薬屋で体力や状態異常回復様等のポーションを購入してから、
宿に戻った。




