117. この世界に転生して無職になった
117. この世界に転生して無職になった
リリルは、この世界に召喚されたブルーファルコンのメンバー、コボルトの魔導士(召喚系)ドノバン(リーダー)、
ドワーフの女戦士ジュガ、人間の司祭ルード、
レオンの町の冒険者ギルドのギルド長、ゼニス(中年の男性)と、
レオンの町の冒険者ギルドのサブマスターであるケレンの5人に、この世界のことを説明していた。
中世ヨーロッパを模した世界のプログラムからやって来た彼らは、
いきなり、西暦2120年の技術の世界に放り込まれ、
はじめは何が何だかわからない様子だったが、
その内、諦めがついたのか、少しづつ、この新しい環境になじもうと努力を始めた。
ただ、魔導士のドノバンと司祭のルードは、
魔法がこの世界では使えないことに愕然としていた。
厳密に言えば、この世界にも魔法はあるのだが、
彼らには、元コンピュータのプログラム世界での魔法を使用していたため、
使用することができなかった。
彼らの職業は冒険者であり、魔法を商売道具としている。
それが使えないということで焦りを感じていた。
子爵はそんな彼らに、
「私もこの世界に来て、貴族という者がいない世界、爵位や名誉、こういったものは全くない世界だった。
君たちの気持ちはよくわかる。」
と彼らを慰めた。
「自分の得意とするスキルを突然失い、どうやって仕事をしていけばよいのか、正直悩んでいます。
コンピューター?シャトル?3次元復元機?難しすぎます。
この世界、信仰も無い世界ですよね。
何を依り代に生きればいいのか…。」
ルードが言う。
そんなルードを見てリリルが、
「急いで見つける必要はないんじゃないかな?
まずはこの世界の観光をする気持ちで、いろいろなものを見て回って、
面白そうなこと、興味がわいたことをやっていけばいいんじゃないかな。
この世界、食べ物に不自由はない様だし、ジュンを頼っていいと思うよ。」
という。
「そんな感じで良いのかな?」
ドノバンが言う。
「なる様になる、この一言に尽きると思うよ。」
「…冒険者ギルドって組織も無いんだよな。」
ギルマスのゼニスが言う。
「ああ、そう言った組織は無い様だ。
ただ、以前話をしたリョウに寄ると、傭兵ギルドという組織はあるらしい。
シャルシャという所に。内容も、この世界にもモンスターというのはいて、
討伐などの依頼はあるようだ。」
「そうなのか…。」
ゼニスは考え込んでしまった。
「あのう、その傭兵ギルドに行ってみることはできんですか?」
サブマスターであるケレンが質問をする。
「そうだな、ジュンが明日、リョウさんが、
この町に来る用事があるって言っていたので、
要件が終わったら、聞いてみたらどう?」
とリリルが言う。
「そうだな。ぜひともこの目で傭兵ギルドというのを確認してみたい。
ギルマスも行きますよね?」
「あ、ああ。」
「良ければ、私たちも連れて行ってくれないか?」
ドノバンが聞いてくる。
「ジュンに聞いてみるよ。」
とリリルは言った。




