9.コボルトの幼女 その2(シロの父母はどこへ?)
9.コボルトの幼女 その2 (シロの父母はどこへ?)
ジュンとブルーファルコンの面々は、レオンの町で一番大きい酒場に来ていた。
その酒場は町の中心から近く、にぎやかな通りに面していて、
酒場の外の通りにもテーブルが出されていて、そこでも飲食が出来る様な所だった。
ドノバンは早速店に入っていく。
ジュンはその前にモディフィケータで、白いコボルトを条件にかけ、検索してみたが、
この町及び周辺にはいない様だった。
案の定、その酒場の中にも白いコボルトはいなかった。
ドノバンは知り合いのウエイターや、冒険者にもあたってみたが、
有力な情報は得ることはできなかった。
ただ、隣村のサザン村の鉱山で新しい鉱脈が見つかり、
王都サザリアを始め、複数の都市や町から商人や鉱山技師が集まっているという話が聞けた。
(この町や周辺地域にもいなさそうだし、白いコボルトも鉱山関係者で、
サザン村の鉱山を訪れているのでは?)
他の酒場も当たってみたが、結局白いコボルトはおらず、ヒントになる情報も聞けなかった。」
ジュンはドノバンに提案をした。
「あの、隣村のサザン村の鉱山で新しい鉱脈が見つかり、あちこちから人が集まっているという情報がありましたが、
白いコボルトもその鉱山の関係者なのではないでしょうか?」
ドノバンは少し考え込んでいる。
「可能性はあるんじゃない? 行ってみましょうよ。 徒歩で2日位でしょ。」
ジュガもサザン村に行くことに賛成してくれている。
「そうだな、サザン村でも探してみるか。」
明日の朝、ブルーファルコンと冒険者ギルドで落ち合うことにして、
今日はゆっくりと休むことにした。
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翌日。
ジュン冒険者ギルドに入ると、ドノバンとルードが、
すでにギルドを入った所のテーブルの一角に座って待っていた。
「ジュガは?」
「ああ、少し思い当たることがあるので、Bランクの依頼ボードに確認しに行ったよ。
私にも、詳しく話してくれないんだ。」
10分くらい待つと、ジュガがやってくる。
「私、思い出したのよね。北方のノルドという町に、鉱石に非常にこだわる鍛冶屋がいて、
それがめずらしい事にコボルトの夫妻が営んでいるということを。
その鍛冶屋と思われる依頼が出ていないかと言うことと、鉱山の状況ね、
情報を仕入れに行っていたの。
確かサザンの村には冒険者ギルドが無いから、この町のギルドに出されている場合があるかもしれないから。」
(そうだ、鉱山の情報をこの町でできるだけ確認してから行かなければならないな。)
「で、サザン村の鉱山なんだけれど、弱いモンスターが以前から出ていることは把握済よね。
しかし、新しい鉱脈が見つかった区画は、それよりも強く、新種の物が出るらしいわ。
Bランクの依頼ボードにそれ関係の調査の依頼があったわ。」
「そうなると、今、鉱山には入れないのか?」
「そうね、Bランクが1人いないと。」
ドノバンは、視線をあるテーブルに座っているある冒険者に目を移す。
そして、すぐに視線を戻す。
「そうよね、リリルがいたわよね。彼女、ソロで冒険しているけれど、先日Bランクに昇格していたから。」
ジュガがそう教えてくれる。
ジュガが立ち上がり、リリルの元に向かう。
ドノバンは嫌な顔をしているが。
ジュガはリリルに説明をしているが、
一瞬ジュンをちらっと見、うなずいている。
そして、ジュガとリリルがこちらにやってくる。
「リリル、OKしてくれたわ。
ジュンとシロも一緒に行くんでしょ。」
「ああ。そのつもりだ。」
リリルがシロをちらっと見る。
「大丈夫よ、安心して。シロには危害が行かない様、守り抜くから。
ちょっとシロを抱かせてくれる?」
ジュンはシロをリリルに渡すと、満面の笑みでシロを撫でまわす。
「かわいいわねー。 何歳なの? 毛並みが最高!」
(ああ、そういうことか。ターゲットはシロか。)
しばらくして、シロを十分かわいがった後、リリルはBランクの依頼ボートから、
サザン村の鉱山捜索の依頼を剥がし、受理登録をした。
こうして、ジュンとシロ、リリル、ブルーファルコンの面々で、
サザン村の鉱山に出かけることになった。




