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第5話
「召喚されました! 成功のようです!」
そんな言葉が聞こえた気がしたが、しばし目を閉じて再び開けると世界が全く違っている……そんな経験を一日で二度したのだ。俺はこの状況に些か慣れているようだった。そんな中でも、言葉のした方向とは別の場所からやってきた男には言い知れぬ迫力を覚えた。
「私が召喚を命じたものだ。気分はどうかね?」
「良くも悪くもないです」
「そうか。ついてこい。お前の適性を測る」
それだけ言うと元凶は歩き出した。あまりに沈着に歩き出すので、俺はついて来いと言われたことを一瞬忘れるほどだった。俺もあわてて歩き出すと、ふと元凶が語りだした。
「すまなかった」
「え? あ、いえ」
「君には今までの人生もあっただろう。それを、こんな場所にいきなり連れてくる結果になってしまった」
「いいんじゃないですか? どっちでも変わらないだろうし」
「ふむ……だがこれからの結果の如何によっては、君の人生は大きく変わることになる。もしこの世界で生きていく気なら、君の人生について、一から考え直した方がいい」
「はあ、ありがとうございます」
「さて、ここだ」