第36話
冒頭を教室で、と続けば次のシークエンスは闘技場のような気もするが、今回は早くも屋外、それも森の中にある高台であった。
「今回、国から、野盗の逮捕の依頼をいただきました。デモンストレーションがてらにサクッと終わらせましょう」
人をこき使っておいてよく言うものだ。
「ここからおよそ600mの地点、木が少なくなっている地点に、人の群れが見えると思います」
俺とサムは、支給された双眼鏡を構えた。確かに人の群れが見える。皆一様にフード付きの衣服を身につけている。奇抜な面を持っている者もおり、酒盛りしているのかどこか殺伐とした様子だった。
「あれを討伐しましょう。皆さん、デバイスを敵に向けて構えて下さい」
他の二人は躊躇なく構えていた。流石に人めがけて構えろと言われるときつい。俺も些か遅れて構える。俺のささやかな童心は心の隅に追いやられていた。
「さあ、発射!」
敵めがけて飛んでいく銃弾。リロードの類をしていない辺り、魔法で錬成でもしているのだろうか。そして銃弾は三発それぞれが三人の眉間を撃ち抜いた。残りの敵は見る限り一人。そこで意識高い系が俺に語りかける。
「続いてその銃に魔力を流して下さい。あなたの魔法を最適化する形で引き出せます」
戦ってもいない此奴に指示を出されるのは些か癪に触るが、そんなことばかりも言っていられない。言われるがまま魔力を通した。すると弾丸は進んだ向きとは逆方向にまた動き出した。普段よく使う魔法だが、確かに使った時の疲労感は少ない。手軽に使える点は好印象だ。そしてその手軽さそのままに、一人の足を地面から打ち抜き、敵は全滅した。
「では、彼らを捕まえて、街に戻りましょう。馬車は学校が用意しているそうですから」
敵の元へ向かう道すがら、他の二人は難色を示していた。無理もない。端から火器使いの男子生徒と、近接格闘が主なサムだ。横から戦い方に口出しされては面白くもないだろう。
「格闘が主だけど、護身に良かったりするのかもね」
サムなりの最大限の気遣いであることは容易に理解できた。
「この銃、カードを挿入しなかった場合は撃てないんですか?」
「そうです。カードが安全装置の意味も持っているのです」
便利でしょ〜? を含意した声だった。
「なら別の認識の方がいいのでは? カードを差している時間は些か手間です」
「ゆくゆくは軍に採用予定のものですから、装填は済ませてから進軍するのですよ」
そんなことを語る最中、突如我々に激震が走る。前方の草木が歪んだのだ。その歪みは徐々に俺たちの前に迫る。そして弾の飛ぶ爆発音が背後から響く。うめき声が聞こえるのは歪みの先。背後では男子生徒が銃を腰で構え、そこから細く煙が上がっていた。銃は俺たちのいた世界ではSAAとも呼ばれる、西部劇で見たようなリボルバーだった。
これが貴様らの銃にできるか? と言わんばかりに彼はリボルバーを回し、ホルスターに納めた。




