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第32話
街の敵を一掃した後は、また平穏へと帰っていった。だがどうやらこの街と魔物の関係はいまだ解決の糸口を見いだせず、事件は宙づりのままとなった。
「よくやったね。君たちには王家から勲章が届いているよ」
俺は渡されるまま淡々と、女子生徒は嬉々として受け取っていた。手元が震えているのは緊張か恍惚か……どっちもだろうな。
「ありがとうございます」
平静を装っているが、隠しきれない喜びが、息遣いからも伝わるようだった。
「そうそう、君」
調香師は俺を見る。
「そろそろ決めてはどうかな?」
「はい?」
「名前」
そういえばそうだ。よく考えれば、この世界で俺は名乗ってはいなかった。
「じゃあ……」
俺の人生がドラマだとしたら、一章の終わりあたりだろうか。だが急に言われてもどうしようもない。何もない人生なら、何もない範囲で生きるしかないのだ。だから俺の名は……
「プロタゴニスト」
そう名乗ることにした。




