第28話
「死んじゃったんだね? どう?」
「は?」
「だーかーら、臨死ってやつだよ」
「あぁ……うん?」
いつぞやの神であった。
「おかしな話だよね。何も起きない筈の君が死を選んだとは」
「死は平等でしょう? 私はただ流れるまま死んだんですよ」
「違うね。君は女子生徒のために、死を、選んだんだよ」
「どっちでもいいですよ。流れが止まるのが早いか遅いかの違いです」
「悲観的だねぇ。君の最期かもしれないんだよ?」
「かもしれないとはまた悠長な……どう言う意味ですか?」
「言葉通りだよ? 君は本当に死ぬ。かもしれない」
「信じられないですね」
「ならそれで結構。流れに身を任せて死ぬまでだ。まあ、君の望んだ通りだね」
そういった神は踵を返し、歩くそぶりを見せた。露骨に振りであったことが余計に癪に触る。
「そうだ、君の能力、回避だと思ってるでしょ?」
「帰るんじゃなかったのか?」
「まあ聞きたまえよ。君の本当の能力は完全回避じゃない。まだ先がある。その先を見たいと言うのなら、死ぬのは一旦お預けにしてあげよう。その力で女子生徒を助けたりするといいかもね」
「あなたにとってどんなメリットが?」
「メリットなんかじゃないさ。享楽だよ」
「……分かりました」
「君って、善意が嫌いなの?」
「単に俺に向く気がしないだけです。もっと満ち満ちた日々なら素直に受け取ったかも知れませんが、生憎ドラマはないもので」
「そう。じゃあ、あとは頑張りなさい」




