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第27話

 元いた世界では閃光手榴弾と呼ばれた兵器に似た光が辺りを包んだ。まるでその瞬間だけ世界の全てがなくなって真っ白になったと思うほどだった。俺の本能は魔力へ直接訴えかけるように、俺の体力では考えつかないほどの速度でその場から離脱していた。


 ……ゆえに俺はなんともなかった。だがその傍らで、女子生徒がうずくまっていた。


 俺は許される限りの速さで彼女に駆け寄る。回避にばかりリソースを割く俺の魔力は、こんな時に対して役には立たない。多少の魔力で手伝いつつ、この程度が実力かと歯噛みしながら重い足取りを踏み締めた。


「よく生き残ったな。先見性は大したものだ。だが彼女はその限りではなかったらしい」


 騎士は剣を振り上げた。


「この戦いで同胞を数多殺したことは、戦士として称賛しよう。だが、一存在として、貴様は殺さねばならない!」


 振り下ろされたその剣は、肋骨をへし折り、腰から臍まで達していた。見たこともないほどの量の血が……俺の体から流れ出ていた。


「え……? 嫌あアァ!」


 女子生徒は俺に駆け寄る。駆け寄れているあたり、彼女は無事のようだった。


「ふざけんじゃないわよ! いつもみたいに避けていればよかった! どうして……どうして……」


 どうして……どうしてだろう? 彼女を助けようと……助け? そんな筈はない。だってよく知っているじゃないか。俺の人生にはドラマはない。助けようとしたところで犬死にがオチだ。


 人間は必ず死ぬ。ならば俺を閉じたもまた死ぬのだ。俺はただ流れに身を任せ目を閉じた。

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