表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/37

第24話

 店主と警兵が争う最中、俺と女子生徒は店の側から来た刺客に対応することとなった。彼女は相変わらず来る敵来る敵を滅多打ちにしている。そんな人を師に仰いだのだ。俺もまた、回避してできた隙に、とりあえず斬りまくり刺しまくる。これしか戦い方は知らないが、思いの外回避に専念しつつ、何も考えず滅多斬りにするのは相性がいいらしかった。


 ついでに俺には別の利点もある。攻撃には最低限、防御に一切リソースを割いていない。残りのリソースは思考に割く。


 潜入がバレていたのはいいだろう。だが今戦っている人数からするに、端からわかっていたように思えてならないのだ。証拠としては些か弱いが、先ほどまでテーブル席に数名しかいなかった客が、今は店から溢れんばかりに刺客が殺到している。俺たちとは別の組、店の外で監視していた警兵たちを目指す。


 いくら回避ができようと、流石に眼前を刃物が通過するのは怖い。しかし不思議と死ぬ恐怖は薄れていた。こんなことを思っていると中二病めいてしまうが、避けてしまうものは仕方ない。俺の生きることに対する緊張感は、この世界で緊張感が増したからこそ、心中では余計になくなっていった。


 淡々と敵を殺しながら、難なく警兵の所には着いたが、二人はまだ苦戦している様子だった。俺は加勢しつつも状況を聞き出す。


「いつ頃からこの人数が?」


「君たちが店に入ってすぐくらいだ。客だと言っていたが怪しかったので話を聞いたらこの有様だ」


「端から襲撃する予定だったってことですか?」


「考えたくはないがそうなるな。応援を呼んだから、じきに収まるだろう」


 応援という言葉に反応してか、一部の敵は攻撃を手を緩めていた。そこをすかさず攻撃していくと、敵は今までの猛攻が嘘のように静かになった。最終的には、実際に応援がきたことが決定打となり、奴等は散り散りに逃げていった。


 戻ってくるなり自分達の班のリーダーが

「これはどういうことだ!」

と詰め寄る。


「あの人数はおかしいだろうが!」


「しかし、我々は何も……」


「そうなると怪しいのは……」


 その一声で警兵たちは俺たちを一瞥した。


「……いやいや、俺、転生者ですよ? この短期間でどうやってそんな関係築くんですか?」


「私はこの戦いで20人を殴り殺した。それでもあなたたちは、私たちが敵のスパイと言いたいわけ?」


 彼女の発言は殊に重く、警兵という立場の彼らも、いささか怯んだようだった。その隙をついて、俺も畳み掛けることにした。


「これが本当に誰かの裏切りであったとして、候補はここにいる十人と、実質的な司令塔である国王、そして魔術学園サイドの、調香師。って可能性が浮上する」


「……そうだな」


「で、誰かだけど、はっきり言って、俺は君たち8人の誰かじゃないかと思っている」


「貴様! 学生風情が偉そうに……」


「私たちは学生だ。自分の居場所を差し出すだけの材料もない。でも君たちなら、既に稼得能力もあるわけで、速い話が裏切りだってできるだろう?」


 俺たちの間には、緊張と、血生臭さが入り混じった、生ぬるい風が吹いていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ