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第23話

 とは言っても、闇取引の場所など皆目見当もつかない。


「ご安心くださいお嬢様。我々の方で調べはついております」


 ありがたい。


「ところで……そこの方は転生者ですか?」


「そうよ」


「どうも」


 初日で転生者への怒りをぶつけられた俺は、どんな態度で接すればいいのかわからなかった。

「あなたが……」


「よろしくお願いします」


「こちらこそ、よろしくお願いいたします」


 誠実に返事は帰ってきたが、その表情には恐怖が滲んでいるようだった。


「そ、そろそろですね。皆さん、戦闘準備を」


 彼女はガントレットを、俺は女子生徒からもらったままの小太刀を構えた。現場は一見何の変哲もない酒場だったようだ。俺のいた世界では西部開拓時代の酒場のような雰囲気で、現代ではそういうコンセプトの店でもなければお目にかかれない代物だ。


 店の扉を開けると、過剰な酒のせいか、それとも少しばかり感じる血の匂いか、あらゆる血腥さが混ざり合って、悪の匂いを体現するようだった。


「いらっしゃい」


 迎えてくれたと言うよりは店としての体裁を保つために言ったに過ぎないように思われた。思わず小太刀に手が伸びそうになるが、流石に露骨すぎるだろうか。俺は小太刀を差している腰の辺りに手を構え、その時を待った。


「マナストーンを買わせてくれ」


 先陣を切った我が班の警兵は、厳かにすぎたように思われたが、売ってはくれるようで、「来い」とぶっきらぼうな声とともにカウンター奥へと進んだ。


 地下へ続く階段があり、俺たちはそこを降り、踊り場に着いてからまた降る……はずだった。


「あんた、警兵かい?」


 バレていたようだ。厳かにすぎると言う俺の予想は正しかったらしい。


「だとしたらなんだ?」


「潜入捜査ってやつかい? 悪いけど、俺たちも商売なんだ」


「こちらも真剣だ。お前たちは、物を買いたいと言っている人に売らないのか? 奇妙な連中だ」


 その言葉を最後に続く沈黙の中、気づくと俺は小太刀に手をかけていた。回避能力よりも先にやってくる、本能の部分がそうさせたようだった。


「生きて帰すと思うなよ!」


「貴様を殺す!」


 その場の武器が抜かれる金属音が、狭い部屋の中で共鳴した。

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