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第2話
と、普通なら第一話を冒頭として話が進み、ヒロインと和解したりするんだろうが、生憎俺が生きているのは剣も魔法も、色恋もないただの学校だ。これから始まるヒロインとのいざこざを期待した人たちには申し訳ない。これが流行りのライトノベルなら話は別だが、現実など、この程度が関の山だ。
「おい、佐藤」
と呼ばれた声で、今が6時間目の授業中で、俺は碌に授業も聞かず読書に耽っていたことを思い出した。外界との接続を解除できる授業中の読書は嫌いではなかったが、怒られては仕方ない。俺は黒板に向き直ることにした。
「すみません」
些か思索が過ぎた。だがその言葉を最後に授業の終わりが告げられたため、さして長い時間でもなかったのかもしれない。
「じゃ、授業はこれで終わりだ。課題を忘れるなよ」