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第19話

その後は魔法の実技に座学に訓練に、学校生活らしい日々が続いた。この手の話なら、もともとサラリーマンの主人公が学生時代に思いを馳せたりするのだろうが。生憎俺は元から学生だ。大した心境の変化などあるはずがない。


「改めて、周辺国の話をしておこうかな」


 そう語る調香師には申し訳ないが、正直この世界でも座学は退屈だ。思わず窓越しの景色に目を移す。


「この土地はマナが薄い。でも古の召喚陣があったことから、召喚魔法を中心にあらゆる魔法がないまぜになった独特の文化があるんだ」


 少し街を見て回った時、獣人やらエルフめいたものやら多数いた。これが世界のデフォルトだと思っていたが、どうやら土地柄のものらしい。


「で、目下危惧すべきは……」


 確か隣国と魔王軍だったか。隣国は良質な金属が取れたことから、武器鍛冶が発展しているが、それ故に犯罪も多く、いざとなったら何をしてくるかわからない恐ろしさがある。


 魔王軍はかつて反映していたそうだが、百年前だかにあったという戦争により、大きく衰退した。敗戦によって人間による恨みもあるようで、先のゴブリンなどの魔物に加え、人間に敵対するならだれだろうが受け入れているようだ。よって数だけはすさまじく、周辺国が軒並み魔法や武器開発などの軍関係に力を入れているのは魔王軍の影響が大きいとされている。


「で、ここからが本題。みんな、ちゃんと聞いてね」


 調香師の声色が変わった気がした。こうして表現力に富んだ教師が現世にもいれば、授業も些か楽しく聞けたに違いない。


「目下調べなきゃいけないことがある。ゴブリンの件だ。報告を聞いた限りだと、奴は目をやられてから俊敏に動いたそうだね。ゴブリンは肉食の魔物で、情報を主に視覚に頼っている、それだけ動けるのは些か妙だ。というのはうえでも一致した見解だった」


 推測が当たってよかった。とはいえ、俺で何とかなったのだ。きっと誰でもなんとかなっただろう。


「で、ゴブリンを調べたんだけど」


 そういって調香師が出したのは、宝石のような石だった。


「……マナストーン!?」


「そう。主に聴覚を強化する魔法が付与されてた」


「ってことは……!」


「人間側で手引きして、これを仕込んだやつがいる」


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