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第17話

 一陣の風。それは俺に目掛けて吹いていた。だがバックステップで木に登る俺には追い風となったのだ。俺を運んだ追い風はそのまま森へと行き先を変え、ざわざわと木々を揺らした。


 盲目の大将は露骨に慌て出した。キョロキョロと周囲を見……いや、聞き回し、そこらじゅうを棍棒で殴りまくっていた。


 その時俺は、静かに左の頬が引き攣っていくのを感じた。仮説が正しければ、奴はもう、目が見えているわけではなく、音で俺たちを襲っている。ざわざわと揺れる木々は、俺の姿を隠すのにうってつけだった。これほどまでにうまく行くとは思わなかった。現に奴は未だに自らを追い込み続けている。俺はただ風が止むのを待った。


 木々のざわめきが、指揮棒を振り上げたが如く止まった時を、俺は聞き逃さなかった。すぐさま木から飛び上がり、奴の上を取った。俺がいた場所からは、枝の傾いだ音がするだろうが、それすらも厭わない跳躍。今までは回避に終始していたが、俺は自分のジャンプ力に些か驚いた。これが調香師の力か……


 すぐさま俺がもといた場所へ大将が向かってくる。だがここまで計算の内だった。奴の足元には、自らが雑に振るいまくった棍棒の影響で、そこらじゅうにくぼみができている。目の見えない奴に回避する余力などあるはずがなく、うつ伏せに転び、無様に背中を晒していた。俺は自由落下を乗せつつ大将の首筋目掛けて、小太刀を突き刺した。

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