第16話
彼女も俺も難なく攻撃を避けはしたが、互いの間には不安と困惑の表情が渦巻いていた。
「視覚に頼ってるんじゃないのか?」
「分からない……どうして……?」
女子生徒目掛けてやや皮肉混じりに言ったが、それに怒りをぶつける余裕すらない様子だった。
言い合いの最中も、盲目の大将はズンズンとこちらに向かってくる。迷いなく俺たちに棍棒を振り下ろす。最後の悪あがきとばかりに、舞い上がった土や石が俺たちに飛んでくるが、それすらも避けた俺は大将の猛攻に晒されることとなった。
しかしこちらは二人だ。俺に固執する大将の背後目掛けて、女子生徒が飛びかかる。しかしその一撃は、大将に届く前に棍棒で女子生徒ごと吹き飛ばされ、彼女は気を失った。
俺一人となった時、ふと頭をよぎったのは攻撃パターンの変化だった。目を潰される前は薙ぎ払いが多かったが、それ以降は棍棒を叩きつける攻撃にシフトしてきた。目を潰されてからの方が攻撃目標を絞れている。問題はどうやって目標を絞っているのかだ。俺には既に仮説がある。しかしそれを実行に移すには気が熟していない。俺はその時を待ちながら、大将の周囲で奴を翻弄し続けた。案の定奴は抜群のコントロールで俺目掛けて一撃を叩きつけるも、全て地面を抉るにとどまっている。
その時だった。風が吹いた。俺は棍棒での一撃をバックステップの要領で避けた。同時に、俺は近くにある木に飛び乗り、できる限りの息を殺し、ただ時を待った。




