第14話
向かってくるゴブリンを片っ端から殴って無力化していく彼女についていくのに必死だった。だがゴブリンが一体、こちら目がけて棍棒を振り下ろした。
魔法で回避ができるのもあって俺は冷静だった。冷静過ぎたのかもしれない。俺は振り下ろす棍棒の大元、腕を掴み、そのまま背負い投げを見舞った。ゴブリンは「ウギャアァ!」と言葉ではないだろう声を発し動かなくなった。
この手で人型の生物を攻撃することに気はひける。俺は歩みを止めそうになるが、それを察してか女子生徒から声がかかる。
「悲しむのは後よ! ついてきて!」
男の俺が言うのは些か違うような気がするが、この時の彼女の背中はとても頼もしかった。
その後も次々襲いくる攻撃をいなして反撃を繰り返した。気になるのは女子生徒の戦闘方法だ。彼女に殴られた敵は、数m吹き飛ぶか逆に拳に吸い付くように項垂れるかのどちらかに分かれていた。重量によって分かれるわけでもなく、大柄な個体が吹き飛ばされ、小柄な個体が項垂れることもあった。これが彼女の魔法なのだろうか。俺には皆目見当もつかない……これだけのことを考えようと、俺の回避は淡々と続いた。
淡々と続いたせいだろう。俺は気づかなかった。目の前にいるゴブリンが大将であることに。
大将は鳴き声のようなものでがなり立てる。
「あんたを倒せば終わりよ」
「グギュアアァ!」
「いい? 私はやりたくもない新人のお守りを任されて気が立ってるの。大人しく、私のストレス発散道具にでもなりなさい!」
おい、というか……
「なんでお前ら会話でき……」
続く言葉は、大将の棍棒によって遮られた。俺のどうでもいい疑問の消失は、同時に苛烈な戦いの火蓋が切られたことを暗喩しているようでもあった。




