第1話
桜の舞う季節、僕はこの王立魔法学園の一年生となる。王立なだけあってどこもかしこも荘厳な建物は、僕らを歓迎しているようでもあり、これから始まる厳しい学園生活を暗示しているようでもあった。
学園本棟と比べると質素な部活棟は、活気のある声がそこかしこから聞こえてくる。そばしその熱気に中てられていると、二回の端の部屋から、小さな布が飛んできた。たまたま飛んできた場所が僕の辺りだったのが良かった。僕はその布を地面に落ちる前に掴んだ。
次は届けるのだが、きっと落とし主も困っているだろう。僕は足に魔力を込め、ふわりと飛び上がった。
この程度しかできないけれど、こんなことで人の役に立つのは悪い気はしない。ベランダの柵に飛び乗って、落とし主に声をかけると……
「え?」
そこにいたのは少女だった。風に髪をなびかせる様子は、絵画から飛び出してきたようだった。一糸まとわぬ姿もそのように見えた原因かもしれない……ん?
そして僕は握っていた布の質感を思い出した。さらさらとした質感とレースの肌触り。これは……
「これ、もしかして君の、パン……」
「嫌あああアアァァァァァァ!!!!!!」