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ボロアパート

ボロアパート15

作者: さち

バレたらヤバい!

思わずギュッと目をつぶる。


あぁ…終わった。


そう覚悟を決めた瞬間。

スッと彼女が離れる気配がした。



助かった…のか?

マジでヤバかった。

自分の心臓の音で周りの音が聞こえない。

その時、なんとも言えない快感が体を突き抜けた。

背中がゾクゾクする。





…もうやめられない。と心底思った。






……

何だか壁の穴が気になって覗こうとした。

その時…


コンコン。誰か来た。


「はぁい。」

郵便屋さんだった。



…ただの穴だよね。そりゃそうだよ。

なんでこんな小さな穴から覗かれてるなんて思ったんだろう?


ホントに疲れてるんだな、私。

お隣さんがそんな事する訳ないじゃない。


そうだよ。

私みたいな女に興味ある訳ない。歳も離れてるし。


はぁ。変な心配して疲れちゃった。

今日は早く寝よう。






……

良かった。バレなかったよな…?


普通はこんな事されるなんて思わないか?

それとも小さい穴だからわからなかったか…?





これってもしかして

…もうバレないんじゃないか?




もしそうなら、これからは何の心配もなくずっと彼女を見ていられる。



…あぁ。今日はもう寝るんだね。

ちゃんと寝付くまで僕が見守っててあげるから。

ふふっ。可愛いなぁ…。






それからも僕が彼女を見つめる時間はドンドン増えていき、ある日ついに越えてはいけない一線を越えようとしていた。




ここがボロアパートだからこそだな。

…簡単に合鍵が作れた。


自分でも、かなりヤバい事に手を出してるという自覚はある。でも、欲望に勝てない。

彼女の全てを知りたいという欲求が、溢れて止まらないんだ。


ははっ。もうここまで来たらどうとでもなれ!

行くとこまで行ってやるよ。



2日前に彼女が電話で話してた。

今日から2泊3日で出張に行くらしい。

…素直にチャンスだと思った。


きっとこういうのをストーカー?って言うんだろうな…。

でも、彼女にさえバレなきゃもう何でも良かった。

俺はすでに犯罪者だからな。



その日の夜。


深夜2時過ぎ、合鍵を使って彼女の部屋へ忍び込む。

ドアがギーッと音を立てて開く。


ドキドキし過ぎて心臓が口から出そうだ。

なるべく音を立てないようにドアを閉め鍵をかける。


懐中電灯で部屋の中を照らす。

「あぁ。同じ造りの部屋なのになんか違う。彼女の香りがする…。」


鼻から深く息を吸い込む。

我ながらやっている事がヤバいと思う。

でも、理性的な事は頭の片隅に浮かんではすぐに消えていく。


部屋を隈なく見ていく。


あぁ。興奮で頭がおかしくなりそうだ。


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― 新着の感想 ―
[一言]  拝読しました。  行動はエスカレートする。  人の性(さが)ですね。  取り返しのつかない所まで行ってしまうのか……。  それとも、このまま観察者であり続けた時に、その後の展開の…
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