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お題シリーズ

幽霊なんて存在しない

作者: リィズ・ブランディシュカ


 幽霊なんて存在しない


 幽霊なんているわけない。


 そんなオカルトな存在、ありえない。


 だから、怖くない。怖くないっ!


 オカルト大嫌いな私は、ある時学校に忘れ物をしてしまった。

 しかし、家に帰って気が付いた時には、すでに下校時刻を過ぎていた。


 まずい、どうしようっ!


 慌てて学校に戻っても、門は閉まってた。


 明日学校に行けば、きっと手に入るだろう。


 けれど、それでは遅いのだ。


 今日手に入れなければ、期限に間に合わなくなってしまう。


 課題提出、もっと余裕をもってくれればいいのに。


 私はあちこちに視線を向けて、幽霊の不在を確認しながら、文句を呟きつつ学校に忍び込んだ。


 校内は真っ暗だ。

 唯一、職員室だけは明るくなっている。

 宿直の先生がいるのだろう。


 けれど、近づくわけにはいかない。


 私は不法に学校に侵入しているのだ。

 大目玉をくらうだけならいいけど、親に連絡されたら大惨事。


 私は泣く泣く、明るい場所をさけながら、薄暗い校舎の中を歩いていった。


 足音を殺して歩くと、静寂が心臓の鼓動を加速させる。


 何もないはずなのに、どこからか不気味な音が聞こえてくるような気がして、意味もなく耳を塞ぎたくなった。


 やがて、目当ての教室に辿り着いた。


 永遠ともおもえる時間をかけて、辿り着いた教室は、昼間とはまるで雰囲気が違う。


 今にも呪われた霊魂が呪われた言葉を吐き出しながら、ケタケタ笑って動き出しそうだ。


 私はさっさと課題のプリントを見つけて、家に帰る事にした。


 大丈夫、怖くない。


 口の中で何度も呟きながらプリントを手にした私は、次の瞬間「タスケテクレ」肩を叩かれて思いっきり絶叫を挙げた。


「ぎゃああああああ!」


 そして猛ダッシュ。


 何あれ!? 何が起きたの!?

 人の気配しなかったよね。足音も聞こえなかったし。


 そのまま夜の学校の廊下を爆走していった私は、職員室からかけつけた教師に見つかって大目玉をくらってしまった。


 後日、教室にいくと、劣化した天井から配線が垂れ下がっている光景があった。


 ほらね。やっぱり幽霊なんていなかったんだ。

 無駄にびっくりさせてくれたな、こんちくしょう。


 苛立ちをこめて配線を引っ張ると、白い物がごとりと落ちて来た。


 理科室にありそうな骸骨さんだ。


 うつろな眼下がこっちを見つめている。


「ミツケテクレタ」


 それは骸骨の頭部だった。


「ぎゃあああああっ!」







 後日、学校建設の際に行方不明になった建設作業員の亡骸が見つかったという話を聞いた。

 その作業員は、厳しい指示を出す現場監督に反抗していて、ケンカが絶えなかったという。


 ある時ふつりと行方がしれなくなった彼の事は、誰も知らなかった。

 その日にいたるまでは。



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