町の案内をしてもらいました③〜さらっと異種族発言をされましたが、聞き流します〜
「やっ、ミヤコちゃん。昨日ぶりー」
「センリちゃんも一緒だったの!やっほー」
(さっき別れたのはヨウリだった気が..僕が気にすることじゃないか」
いつの間にか合流したセンリも加えて町の案内が始まった。
町の案内といっても、特に説明もなく、たまに立ち止まったり、時折会う人々に声をかけたりかけられたりと、まるで散歩だった。
緊張が次第に溶けていく客人の気持ちを知ってか知らずか、先導する二人は談笑しながら足を進めていく。その後ろを玉枝とジヨッコが並んでついて行くというかたちだ。
「姫さまお墨付きってのはあんたか、よろしくなっ」
「ここはいいところだよ。気に入ってもらえるといいさね」
住人でも、思ったより受けられているようで、会う人たちは皆好意的な視線や言葉をかけてくれた。
受け入れられるかと不安だったが、茅みたいなもので覆われていたり、尻尾や耳が生えているくらいで、彼らに対して忌避する感情は玉枝の中には生まれなかった。
「タマエの『目』というか…タマエ自身、妖との因縁が強くて、急に妖…人間とは違う存在に会っても驚かないように、この町に来る前より昔、、ともすれば産まれた時から、わたいたちが人に近い姿に見えるようなフィルターがかかってるって、姫ちゃんが言ってたよ」
「もともと貴方は術にかかり難い体質のようだし。真希子ちゃんが、私たちが完全に人の形をして見えるよう術式をこの町全体にかけているから、普通の人間はセンリちゃんに耳と尻尾が生えるようになんて、見えないのよ」
「え、そうなんですか」
玉枝の反応に、京が予想が当たったとばかりクスクス笑う。
「ふぁあ〜、タマエの目にはそんな風に見えていたの?なんだか小恥ずかしいのが腹たつっ!タマエのクセにぃい」
センリが頬を赤くして、自分の尻尾を見ながらぐるぐる回った。
「京さん...」
「鎌掛けちゃった。ごめんね」
ぺろ、と舌を出して片目を閉じられたら、何も言えない。
「ただ、警戒して自分自身で術式をかけている者もいるから。彼らのことは玉枝さんでも人間と変わらないように見えてるはずよ」
「"彼ら"の中に京さんも入ってますよね?」
「ふふふ」
「でも、、警戒って?」
「わかりやすく言うと、他民族が急に領域に入ってきたら、あなた達でも攻撃的になる者もいるよね?って感じ」
「はぁあ、確かに人によりますね。わかります!」
大学での日々を思い返して深く頷く玉枝を、ジヨッコが思うところがある様でみていた。
「まずはまわりを回って、それから主要な場所を案内するね」
変わったつくりだった。一周し宝こそわかったことだが、多分、この町は円形と台形が繋がったような形をしている。
また町の周りを隙間なく竹林が覆っている様は___
「なにかから守るために立ちはだかってるみたいだ」
見渡しながら呟くと、ジヨッコが目を見開いて玉枝をみた。
この数時間で不適な紳士だと思っていたジヨッコは、実は感情豊かで素直な紳士だと玉枝は感じていた。
(思えば昨日も置いていきそうになったことを詫びてくれたし、どうやってかはわからないけれどこの街まで連れてきてくれた)
(大学のやつらだったら笑って放置していったり、荷物の一部を隠されたり、自分たちと違うものだと嫌がらせをされたり、無視されたりすろこともない、、、)
「タマエ?」
大学のことを深く思い出してしまい目を瞑った玉枝を、ジヨッコが覗き込む。
「大丈夫だよ。ありがとう」
「不慣れで不自由かもしれませんが、私は貴方がここに馴染んでくれたらなと思っていますよ」
母や父が僕を優しく包み込むような、そんなジヨッコの言葉に胸が熱くなる。
ただわかりやすく表にだしていないだけなのだ。そんな人に会えただけでも、ここに来てよかったと思う。
「ここの竹林は結界の役目をしているの、何から守ってくれるのかって言うのは、まぁここに居ればおいおいわかるわ」
二人のやり取りに気付いているのかいないのか、ミヤコが竹林に沿ってぐるりと街を囲っている竹で作られた柵に手をついて説明を始めた。
「あと伝えておかなきゃいけないのは・・と、あれねー」
京の視線の先には真っ白な鳥居が小さいながらも存在感有り気に佇んでいた。
位置関係で言えば、台形の長辺の真ん中あたりだろうか。
門と間違えそうな構えだが、周りの風景と妙に馴染んでいて、自然だ。
「何かあったら、あそこを潜って」
「何か、って」
「あなたがそれを判断する時」
鳥居を見据える京の真剣な眼差しと言葉には有無を言わさぬ響きがあり、玉枝は胸に抱いた疑問を口に出せなかった。
何ヶ月ぶりの投稿なのか、、(汗)
一人称にするか三人称にするか定まってなくて、読みづらいと思います。
すみません><