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町の案内をしてもらいました⑤〜みなさん色々と事情があるみたいです〜

「はぁ、、私が付いていながら玉枝さんに怖い思いをさせるなんて。申し訳ないです。


「ここに来るって決めた時に覚悟していましたから」


過去の奴ら(・・)の顔や表情、言われた言葉。脳裏に浮かんでくるそれを振り払う。


そんな玉枝の気持ちを尊重するように京たちが言葉を紡ぐ。


「あんな奴ら、玉枝さんが歯牙にかけるほどでもありません」


「彼らは姫さんに保護を求めるだけで寄生する存在。働かざるもの食うべからず、ですからな」


「タマエはこの町のためにお仕事してくれるんだから、優遇するのはどっちかなぁーって、バカでもわかるよね??」


「・・・」


胸に込み上げる熱量に目頭に無駄に力を入れる。


(期待はしないって、覚悟はしてきたけど、、)


「信じてみて、いいのかな」


ぽつり、と呟いた言葉は盛り上がっている京たち(みんな)に届くことはなかった。


けれど一人(ほんとうにひとり?)


『いつか裏切られる』


そう囁いた、脳内の()に。


僕はそっと、蓋をした。








楽しそうに町を散策する彼らを、丘陵の上から彼女たちは眺める。


人の姿に綿毛のような空気を含んだ毛を纏わせた狐耳と九本の尻尾の光沢を風が靡かせた。


彼女たちのうち一人の影は、真希子である。


もう一人、齢は8から10歳くらいだろうか。年端の行かぬ少女だ。


真希子が少女に言葉を紡いだ。


「馴染むのが早いわ。ま、出会う前から大丈夫だと確信していたけれど」


「     」


「彼の闇はアレの妨害でしょう。信頼するあの子たちならそれを跳ね除けられるはずです。御心に感謝いたします」


「                         」


「神話の時代は始まっているのでしょう?2019?2020かしら?その時から繋がれた。今はまだその時代(とき)ではないけれど」


真希子の隣に佇む、前髪を眉上で、後髪を肩で切り揃えた少女は切り揃えた髪下に耳の半分を仄めかしながら頷いた。


唇の端に微笑を湛えて。慈愛に満ちた瞳を真希子に向けながら少女は空中に溶けていった。


「カガリ様。再び現世にお戻りくださるのを心よりお待ちしております」


真希子が少女がいた空間に拝礼する。


(姫が時期を整えはじめた)


和尚(龍音寺住職)は各国の白金龍たちを集めるべく動き出した。こちらも繋がりを強化しなければ)


彼ら(・・)も自覚しなければならない時がくる。



弥勒菩薩が兆候を示す2021年までにーー



「ハクサン。そこが動くわね。整えておかないと」



独り呟いた真希子はそっと館へと身を戻した。



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