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008それはビアンカがするはずですが?

 先生が立っている場所は、魔法を使用出来る場所でもある。

 教室内では、そこに立って実技を行う。

 まずダールドマル先生が、右手に持った杖で円を描く。

 そして、左手を開くとそこに花びらがあった。


 「舞え!」


 魔法陣を描かなくても左手の花びらが舞い上がる!


 「わぁ……きれい」


 つい、ボソッと呟いちゃった。

 ごめん。ビアンカのセリフ取ったかも。

 確か、彼女も呟いていたはず。


 花びらは渦を巻きながら天井まで登り、後はひらひらと舞い落ちて来た。


 「では、アイスハルトさん。やってみて下さい」


 そうだった。ここでは公平に授業を行う。その為、さん付けで呼ぶんだった。例え殿下であっても。

 アイスハルト殿下は、頷くと立ち上がる。

 ダールドマル先生が、杖でトンと床を叩くと、落ちていた花びらがスーッと左手に戻った!

 まるで手品を見ているみたい。


 アイスハルト殿下は、杖を左手に持ち皆の前に立った。

 あ、そうだ! アイスハルト殿下は、左利きだ。別にどうでもいい情報だけど。

 ダールドマル先生が、アイスハルト殿下に花びらを渡す。


 アイスハルト殿下が杖で円を描き呟く。


 「散れ!」


 そう言うと花びらは、センスで仰いだように舞い散る。

 これはこれで綺麗だけどね。


 「私と同じようにやってみせてほしいのだが」

 「何故、真似なくてはならない?」


 このセリフ。王子っぽよね!

 で、この後、選択肢だけどビアンカが台詞を言うのよね。

 教師を目指すビアンカは、輪を乱すアイスハルト殿下に物申すシーン!


 「君がやってみせてくれない?」


 ドキドキとして台詞を待っていると、ビアンカが言う前にアイスハルト殿下が私に杖を向けて名指しした!

 え? こんな展開しらないんだけど!

 思わぬ展開に私は固まった。


 「アイスハルトさん。彼女は、一応特進ですが今日が初めての授業で……」

 「あれだけ出来ていたんだ。出来ないわけないだろう」

 「出来るとは思います。ですがまだ、コントロールが出来ない状態なので危険です」

 「結界がある。問題ない」


 アイスハルト殿下は、そう言うと散った花びらを踏みながら自分の席に着いた。

 え~~! 何でアイスハルト殿下に目を付けられてるの? 私、何か嫌われる事したっけ? いや、ないよね?

 そもそも会ったの今日が初めてでしょう?

 その時から睨まれていたけど……。


 あ、でもこれ、アイスハルト殿下が、文句は出来てから言えとか言って、ビアンカがやってのけるんじゃなかったっけ?

 略式の魔法陣もなしで……。

 ゲームの中だから出来る事であって、私には出来ないわよ!


 それにこれおかしいわ!

 何故私なの? ビアンカじゃないとダメでしょう!!

 そう思ってビアンカを見ると、彼女は私をジッと見つめていた。

 あれ~? 何も言わないの? どうするのこれ?


 「やってみるか?」

 「え……?」


 バタン!!

 ダールドマル先生が、私に話しかけた時、リュデロさんがドアの所でこけていた。何をしているのか、この人は!


 「……す、すみません。こっそり見学してました」

 「見学ならこっそりせず、どうぞ」


 許可しちゃうんですね!

 頷くと教室に入って端に立ち、心配そうに私を見つめる。

 あぁ、ビアンカ代わってよ!!

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