007殿下の視線が怖いんです
次の日、いいと言うのにリュデロさんに送ってもらって学園に到着。
「迎えに来るからね!」
「わかったから。今日は、ちゃんとお仕事してね」
わかったと、リュデロさんは頷いた。
本当にわかったのかな?
私は、特進クラスの教室に向かう。
教室は、クラスごとに建物が違う。
中等部も高等部も特進クラスと特殊クラス同じ棟。一般クラスだけ別棟になっている。
こう考えると、一般クラスだったら堪能できなかったよね。
ワクワクして教室に入ると、一斉にこっちを見て注目を浴びた。
あ! その中にアイスハルト殿下もいる!
何故か冷ややかな目で私を見ている……。怖いんだけど。
好奇な目とは違う。
私は、ごくりと唾を飲み込んだ。
アイスハルト殿下は、髪は金髪。だけど瞳はエメナルドブルー。
「おはようございます」
そこに、もう一人注目を集めるビアンカ登場!
でもアイスハルト殿下は、私に向けたのとは違う眼差しを彼女に向ける。
まだ好意の目ではないけど、私に向けるのよりマシ!
どうなってるの?
「私は、ミエーリュ。二人共宜しく」
そう言ってクラスの女子が握手を求めて来た。
こ、この人は!!
こっそり教えます!
彼女は、ダールドマル先生の子供。アイスハルト殿下の護衛の一人でもある。その証拠にダールドマル先生と同じ藍色の髪と瞳。
本来女子は、彼女とビアンカの二人だけ。
是非、この人ともお近づきになりたい!
私は素直に握手を交わす。
次に、ビアンカも。
これで少し、場が和んだハズ。
うーん。アイスハルト殿下だけは、凄い視線を送って来てるけど、気にしない!
「では皆さん席について下さい」
ダールドマル先生が入って来て、そう叫んだ。
教室には、中心に向けて席が設置してあった。
真ん中に先生が立つ。って、特進のクラスメイトは私を含め六名。
貴族と言えど、能力が無ければ特進には入れない。
つまりは、私とビアンカ以外は、アイスハルト殿下の護衛の人達。勿論、能力はお墨付き。
席は、一応ダールドマル先生の正面がアイスハルト殿下。その右隣が、イグシャス。次にミエーリュ、ビアンカ、私、ジョセ。
先生の真後ろには席はない。
「ではまだ杖を持っていない二人に杖を渡そう」
「失礼します」
ダールドマル先生がそう言うと、教室に杖を二本持って入って来たのはリュデロさんです! 聞いてません!
直接、私とビアンカに杖を渡す。
「頑張って」
ボソッとリュデロさんが、私に囁いた。
そして、失礼しましたと退場していった――様に見えたけど、ドアの隙間からのぞいてる!
もうやめてほしい……。
見るなら見学させてもらえばいいのに!!
気が散って、楽しめないじゃない。
こうして、ワクワクドキドキ? の授業が始まった。