004太陽の君のリークエイド様
入学式は、高等部と中等部の合同で行われる。
席順は受け付け順だったらしく、ビアンカの隣。ラッキー!
「えっと。何か……」
しまったぁ。つい、まじまじと見つめてしまって、いや頭からつま先まで観察してまった為、少し卑屈った顔でビアンカが聞いた。
どうしよう。今後のイベントを見逃さない為にも出来れば仲良くなっておきたい!
「あの、私リンといいます! 卒業したらお店を継ぐんです! えっと、一緒に頑張りましょう!」
「はぁ……。私は、ビアンカです。魔法学校の先生になりたいと思っています」
引き気味だけどビアンカは答えてくれた。
そうだった。ヒロインは、魔法の能力が優れていて特待生としてタダで学校に通うんだったわ。
将来は、初等部の先生を目指す。
魔法は、生活の一部。優秀な人は、優遇される。
って、そう言えば、入学式が終わってすぐに魔法の試験があるんじゃなかったっけ?
確か言われた通りすればいいはず。
出来ればビアンカと一緒のクラスになりたいけど無理よね。
クラスは三クラス。優秀な人や王族などが特進クラス。持ち上がりで貴族などのお金持ちが特殊クラス。庶民もとい中等部のみの人は、一般教養を身に着ける一般クラス。
私はもちろん、一般クラス。
ヒロインのビアンカは、特待生だから特進クラス!
雲泥の差があるわ。
でもイベントを思い出せば、こっそり鑑賞できるはず!
カツンカツンと靴音をさせて、壇上にリークエイド様が上がる。
あぁ。あの真っ赤な髪に赤い鋭い目つき。太陽の君!
王様の姉の息子。つまり王族!
確か王子は、アイスハルト殿下。呼び名は……氷王子だっけ?
名前から取ったのかもしれないけど、いつも表情が硬く笑わない。そこから来たはず。
態度もそっけなく、国に無関心。
なので、壇上にいるリークエイド様が王位を継ぐかもしれないという噂があったぐらい。
その王子をビアンカが太陽の笑顔で氷を溶かし、ビアンカに惚れちゃうっていうエピソード。
山あり谷ありをその横で堪能できるのね!
祝辞を述べるリークエイド様に、皆ため息を漏らす。彼は、生徒会長になるので、よく目にする事が出来るのよね。あぁ麗しのリークエイド様をいっぱい拝めるなんて!
そう言えば最初、ビアンカはリークエイド様に好感持っていたのよね。マルチエンディングだったから彼とくっつくかもしれない!?
そう言う事でビアンカを盗み見ると、リークエイド様をジッと見つめている。
そう言えば、氷の王子ことアイスハルト殿下との初顔合わせはどこだっけ?
うーんと、あ! 次の魔法試験でだ!
確か、王子は才能があるのにやる気なしで、ビアンカは、殿下だと知らずに文句を言っちゃうのよね。貴族だと思っていたから大慌て。
でもアイスハルト殿下は、それでなぜかビアンカに好意を持つはず。
あぁ、楽しみだなぁ。早く式典終わんないかなぁ。
もう既に、リークエイド様は壇上から降りていた。