3. アホの子、健気な子、メリーさんとコンビニ
「タクちゃんなんて、知らない!」
バンと音を立てて外へと飛び出していこうとするリコ。
ジャッキーからのメールが本当はウソだとばれて、ご立腹の様子。
しかし、ドアの角からちらりとこちらをのぞいている。
あー、すっごい期待してる目でみてるよー。
そういえば、さっきまでリコが読んでいたマンガで、主人公がヒロインを追いかけるシーンがあったな。
なにもしないでいると頭を引っ込ませ、階段を駆け下りる音を響かせな玄関の扉が閉まる音が聞こえた。
「ふむ、いったか」
窓から外をみると、庭の門扉のところからオレの部屋を見上げていた。
わー、なんか捨てられた子犬みたいな目をしてるよー。
放っておくと、きびすを返し走っていく。
そのまま自分の家に帰るのかと思ったが路地を抜けて、走り去っていった。
「さて、マンガの続き読むか」
マンガのページをめくっていると、スマホから着信音が聞こえた。
リコからのメールだった。
『わたし、今、郵便局のところにいるよ!』
返事をせずに放置。
数分後、またスマホが鳴り出した。
『わたし、今、公園にいるよ!』
だんだんと、遠ざかっているらしい。
『わたし、今、コンビニにいるよ!』
とうとう、そこまでいったか。あいつは無駄に足が速いからな。
返信を打つ。
『ガリガリ君いっこたのむ。おまえもなんか一つ買ってもいいぞ、おごるから』
そして、十数分がたったころだろうか。
部屋の扉が開いた。
「買ってきたよ! お金ちょーだい!」
コンビニの袋をぶら下げたリコが帰ってきた。
ティラミス味のカップアイスをおいしそうにほおばるリコのよこで、オレもガリガリ君を食べていた。
ガリガリ君は最高だな。