1. アホの子、健気な子、巨乳と貧乳
オレには子供の頃からの幼馴染がいる。
幼稚園に入る前に、両親が家をたてアパートから引っ越した。
その隣に住んでいたのが、リコだった。
歳も同じということもあって、良く一緒に遊んだ。
小学校、中学校と一緒になり、高校も地元のものへと通った。
友達にリコのことを話すと、決まってお前ら付き合ってるの? とよく言われる。
そんなときは決まって、ただの幼馴染だと否定しているし、同じクラスのリコも女子相手にそうやって否定しているのを見ていた。
ある日のこと。
「ただいまー」
学校から帰ると、母からおかえりという言葉の後、あんたの部屋ちらかってたから片付けておいたわよ、といわれる。
嫌な予感がした。さらにその次に聞いた言葉が拍車をかけてくる。
「リコちゃん来たから、部屋にあげておいたわよ」
ダッシュで階段を駆け上り、部屋の扉を勢いよく開ける。
床に女の子すわりをしながら、何かを熱心に見ている。
その手元をのぞいてみると、お宝本が広げられていた。
なぜ……、たしかに隠していたはずなのに?
じわりと汗が頬を伝い落ちる。
そして見つける、机の上にキレイに整頓されたお宝本とお宝DVDの山を。
「……タクちゃんって、こういうのが好きなんだね」
「ちょっ! おまっ、なに見てんだよ!」
むくれた顔で見上げてくるリコから慌てて取り上げようとするが、片側をつかんで離さない。こら、破れるだろうが。
さらに取り出されるのは秘蔵DVDの数々。
「日焼け巨乳ギャル海辺でナンパ大作戦!」
「仕事中に巨乳秘書にご奉仕!」
「Hカップのど迫力彼女のおねだりごっくん!」
一枚一枚見せ付けるように手にとっては読み上げる。
「タイトル叫ばないで! 母さん下にいるんだから!」
あ、でも、もう見られてるんだっけ……。うちの母は、息子の宝物を見つけても、そのままそっとしておいてくれないのだろうか。
「なにが巨乳だ! こんちくしょー」
恥ずかしいやら騒がしいやらで収集がつきそうもなかった。
「タクちゃんは、おっきいおっぱいがいいの?」
「そりゃ、まあ」
「なにがいいのよ、あんなの重くてうごきづらいだけじゃない」
リコが自らの控えめな胸を見ながら抗議の声をあげる。
「ぜったいやわらかそうじゃん。指沈めてみたい」
「ひ、貧乳だって、やわらかいんだからな! ほら、さわってみてよ」
顔を赤らめながら強調するようにリコが胸を前に突き出す。制服の上からみてもその起伏はよくわからなかった。
だが、おっぱいはおっぱい。
いいのか? と思いながらも人差し指をゆっくり突き出そうとする。
ごくりとつばを飲み込み、もう少しというところでガラリといきおいよくドアが開かれた。
「あんたたち! うるさいわよ!」
母さんが仁王立ちしながら怒鳴り声をあげる。そして、オレたちの姿を確認する。
「……えっと、これはな」
「あらあ~、ごめんね。でも、なるべく、静かにお願いね」
おほほ笑い声を上げ口に手を当てながら部屋から去っていく母親。
「タクちゃんの、えっち……」
「おまえがやらせたんだろ!」
その後、恥ずかしそうに胸を隠すリコの脇をくすぐって笑い死にさせておいた。