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貴方に黒い花束を  作者: 雪逸 花紅羅
消えゆく理と運命の狭間で
30/38

青い目の鴉

皆様、長らくお待たせ致しました。申し訳ございません。

体調が優れないこともあり投稿が遅くなってしまいました。

何かと忙しい年ですが、今年も宜しくお願い致します!


それでは、ショコラ視点。青い目の鴉、お楽しみください!

ぼ~っと時計を眺めていたら、いつの間にか七時になっていた。

ガレッドは何かを隠しているに違いない。そう野生の感が告げていた。

俺も機械じゃない。仲間が困っているようなら手を差し伸べる。

それが、どんなに嫌いな人物であろうとも。


「何を考えているのですか?貴方は」


ガレッドが呆れたような顔を向ける。

まぁ、そうだな。無視されるよりはマシかもしれない。


「何で鴉なんだ?他の鳥では上手くいかないのか?」

「操ることが出来るのは鴉だけです。無理を言わないでください」

「鴉は操れるんだな。他の鳥は操れない癖に」

「ええ、そうですよ。私には鴉がお似合いでしょう?」


鴉を操らなくても俺は動物と会話も出来る。

ガレッドはそのことをまだ知らないようではあるが、言うべきなのか?

ここで話すと俺は嫌いな鴉に近づかなくても良いということになる。

しかし一方でガレッドの好意まで裏切ることにならないか心配ではある。

このような場合、自分を犠牲にしてまでも好意を受けた方が良いのだろうか?

相手の気持ちを重んじるには、それが最も良い方法であるとは思う。

悩みに悩み抜いた末、やはりガレッドの好意を無にすることは出来なかった。

ガレッドのことを考えればこそ黙っていようと決断した。


「お前は鴉とは違うだろ。もし同じだとしたら・・・」

「・・・だとしたら?」

「容赦はしていない。会った瞬間に攻撃していた」

「そうですか。貴方にしては随分黒い感情ですね」

「嗚呼。それ程、恐ろしかった」


死と隣り合わせの恐怖。それ程までに恐ろしいものはない。

鴉に片目を奪われた時、俺は何も出来なかった。

圧倒的な力の前に死すら覚悟して、大切なものさえ捨て去った。

痛みさえ感じることは許されず、

目の前の光が今にも消えてしまいそうだった。


鴉は猫以上に頭が良く、執念深く、欲深いのだろう。

全てを上回る敵にどうすれば勝てるのだろうか?


「差し違える覚悟で挑めば勝てたと思うか?」

「鴉にですか?それは貴方次第でしょう、ショコラ」

「・・・そうか。確かにそうだ」

「お嬢様をお待たせしてはいけません。行きますよ」

「分かった」


ラディアの待っている部屋に入ると早速、作戦会議が始まった。


「ショコラ、無理はしないで。ね?」

「そうしよう」


ラディアの言葉を聞けば否が応にもうなずくしかなかった。

無理をしていたとしても、やはり肯くしかないだろう。

心配など掛けたくはない。その思いが今は何よりも強い。


「ショコラ、貴方の為に鴉を一羽用意しました」

「・・・素直に喜べないんだが」

「そう言わずに。ほら、触ってみてください」

「頑張って!ショコラ」


そうは言われても目に映る敵の姿には躊躇ちゅうちょしてしまう。

手を伸ばしたいが、その黒いくちばしと翼が恐い。

勇気を出せねばと思っていても心の底では怯えている。

何とも情けない己の姿に怒りさえ覚える。


「嗚呼、怖がらなくても大丈夫ですよ。鴉は私には逆らえませんから」

「それを早く言ってくれ!全く心配した時間が勿体無い」

「それにしても珍しい鴉。こんなに青い目をしているなんて」

「はい、お嬢様。それは私が操っている証拠です」


サファイアのように青い瞳が余計に恐い気もするが・・・

ガレッドが操っているというのは心強い。今なら触れる気がする。

そっと手を伸ばしてみる。鴉が襲い掛かる気配はない。

それでも何をしてくるか分かったものではない。

一刻も早く手を引きたかったが体が何故か動かない。

触って十秒位、直立不動したまま動けなかった。



―-パチン



ガレッドが指を鳴らした途端、金縛りが解けたように時が進む。

俺は残像を残す勢いで後ろに下がった。


「何をした?鴉に触った瞬間、動けなくなったのだが」

「それが技の一つなのですから仕方ないでしょう?危険はありません」

「鴉に触ったら技が発動するということ?」

「流石お嬢様!仰る通りです。鴉の体に触ることが発動条件となっております」


「何故、始めに教えてくれなかったんだ!?」と思い切り叫びたかった。

しかし叫んでも意味がないことを知っていたので堪えた。

叫ぶだけ体力の無駄だ。何も変わる訳ではないのだからな。


「どうしました?顔色が悪いですよ、ショコラ」

「何でもない。思い過ごしだ」

「それなら良いのですがね」

「嗚呼」


ようやく、長い一日も終わった。

こんな日が毎日続くと思うと、とても体力が持たない。

その日は倒れこむようにして眠りについた。


今回で30話ということで・・・なんか微妙だと思いませんか?

本当ならもっと豪華な感じで書きたかったのに、どうしてこうなった!

本編に少しは関係あるのに、パッ!としませんね。


それにしても苦手なものを克服するのはとても勇気がいります。

俺も納豆が食べれるようになった時は苦労しました。

しかし、それだけに食べれるようになった時は思わず笑いが込み上げてきます。

今年も何か苦手なものを克服してみようかなんて思っています。


どうか神様、今年も良い年になりますように!!

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