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貴方に黒い花束を  作者: 雪逸 花紅羅
黒バラの復讐者と堕天使アゼル
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金細工の箱と親子の使命

マリー視点です。

書いているうちに親子の会話が少ないことに気付きました。

要素を詰め込み過ぎた・・・かもしれない。

それでは、どうぞ!


樹で作られた庭の門を開けると何処からか執事がやって来る。

その歩く姿勢は優雅なもので、それでいて音が全くない。

顔立ちも作られたかのように整っているし、何をさせても完璧だ。

騎士として雇おうか・・・そんな思いが一瞬だけ頭をよぎる。


「奥様、お嬢様がお呼びです」


やはりラディアか・・・そうだろうな。

予想はしていた。いつものことだから。


帰って早々、私はラディアに呼び出された。

勿論だともラディア。私も早く会いたい。

しかし、事件を調べなくてはならないのだ、少しだけ時間をくれ。


「すまない、あと少し待つように伝えてくれ」

「承知致しました・・・」


深々と頭を垂れて礼をする執事。

ガレッドをラディアの傍において良かった。

私は心の底から、そう思っている。


自室に戻り明かりを灯す。

・・・我ながら綺麗などとは口が裂けても言えん。

だが、武器の管理や手入れは行き届いているし、

生活する範囲ならば特に問題は無い。


ふとベッドに目を向ける・・・

枕の下には洗練された銀の短剣。

すぐ隣の棚には銀の弾丸入りの銃。

そしてベッドの下には鋭利な大剣。

「これでもか」と言う程ここには武器が揃っている。


私は女性らしいことは何も出来ない。

母親としても失格であるだろう。

それでも私は私の道を行く。覇道の道を。


体を鍛え、精神を鍛えた、頭脳もだ・・・。

その苦労は私に成長と強さを与えてくれた。

我が子を護れる強さ、国を護れる強さを得ることが出来た。


私は満足げに武器を眺めると、

そこから上等な赤い布に包まれた箱を取り出す。

赤い布を取り除き、出てきたのは金細工の箱。

その箱は全体的に銀で出来ており、

美しく繊細な金細工が施してある。

植物を模した金細工に時折、青い宝石が使用されている。

留め具には更なる装飾が施されている。


留め具を震える手でゆっくりと外す・・・。


カチィ


箱の中からは突風が吹き荒れる。

しかし、同時に創造主の御声も耳にすることが叶うのだ。


「如何した?我が愛する人間よ。悩む事はないぞ?」


神の御声は何にも増して穏やかで決して揺るぎ無いもの。

私は失礼の無いように丁寧に尋ねる。


「我等が創造主よ、悲しいことにアンリが亡き者となりました」

「そのようだ」

「貴方様ならば、その加害者を存じていらっしゃるのでは?」

「確かに知っている。しかし、私は君を傷付けたくは無いのだ」


私を傷付けたくない?どういう事だろうか。

まさかラディアの身に何かあったとか?


「どのような意味か、愚かな私には見当もつきません」

「君は知りたいのか?

己が傷付いて尚、その手を私の為に穢せるか?」

「はい。覚悟は出来ております」


―――事の真相を聞いた。

ラディアの事、ガレッドの事、アンリの事。

予言では堕天使は国を滅ぼす。

何故、気付かなかったのだろう?

悩みに悩み抜いて私は決意した。

・・・我が子を、ラディアをこの手で。


「大丈夫かい?マリー」

「はい。御力添え感謝致します」

「では、私は戻るよ」

「はっ!失礼致します」


金細工の箱を静かに閉じる。

何故だ?涙が床に落ちる。

何年も涙を流していなかった。

久しぶりの涙だというのに、こんなにも・・・。


私は炎の剣を取る。

これまでの記憶を炎で焼き払わなければならない。

私は銃を懐に仕舞う。

これまでの日々と決別しなければならない。

私は紅いマントを羽織る。

これは私の戦闘服、何者にも倒せはしない。

私の強さの象徴!


扉を開ける。

足取りが重い・・・心が重い。

まるで騎士の甲冑を着込んでいるようだ。


・・・・来てしまった。

ラディアの自室の扉の前で、立ち尽くした。

悲しみではない、怒りでもない・・・・・

この心が感じているのは膨大な絶望と切なさだった。

目の前の扉を開けば後戻りは出来ないと分かっていた。


ドアノブに手を伸ばす。

いつもは難なく触れるドアノブが今日は異常に冷たかった。

心臓の音が近くに聞こえる。私が臆している?

そうかもしれない。私は愛しているのだから、我が子を。


ガチャ


「お母さん、遅いよ!」


そこには微笑む我が子の姿。


「お待ちしておりました、奥様」


傍らには燕尾服を着た私の友・・・ガレッド。

私に対して笑顔を向ける。


私に二人が殺せるだろうか?

幾ら罪ある二人でも私にとっては大事な存在。

そんな二人を私が・・・・。


「奥様?何故、剣を御持ちに?」


不思議そうにガレッドが問う。

そこには一切の疑いなどない。きっと単純な質問。


「それは、魔の存在を・・・」


剣を強く、握りしめた。

打ち滅ぼすべき、魔の存在。打破すべき堕天使!

私はガレッドに、これ以上ない速さで斬り掛かった。

剣からは退魔たいまの炎がうねり狂う。

どうせなら一息に・・・・せめてもの情けだった。


「危ないです、奥様。お嬢様に傷が残ると如何なさるのですか?」


しっかりガレッドは避けていた。

それどころか私に説教までしてくる。


「お母さん?」


ラディアはどうしたの?というように私を見ている。


「私は貴様等を倒し、国に平和をもたらすのみ!」


大声で威嚇する。無理やりにでも気分を高める。

創造主の意向の為に私は炎の剣を執る。


大事な存在にも、私の幸せにも背を向けてやる!


「ガレッド、私に任せて」

ラディアはガレッドを後ろに下がらせる。

何の為に?その時、稲妻が走るように思い出した。

嗚呼、そうか。ラディアは不死身の運命にあったな。













怒涛の展開になってきました。

果たしてラディアとマリー、どちらが勝つのでしょうか?

まだまだ終わることは無いので、宜しくお願い致します!

では次回も、お楽しみに!

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