深夜十二時 蝋燭の火が消えるまで
こんにちは!雪逸花紅羅です。
今回から、新たに「貴方に黒い花束を」を書いていきたいと思います。
もし良ければ、ご覧ください。ある国の執事とお嬢様のお話です。
ストーリーとしては複雑で、少し長くなるとは思いますが、頑張ってみます!
――私は執事 お嬢様の執事 だからこそ貴方を――
ボーン ボーン
深夜十二時を知らせる時計の音が、この広すぎる屋敷内に響き渡る。
普通は寝ている時間だろう。
草も花も太陽さえも寝静まり、訪れるのは静寂と虚しさだけ・・・。知っていた。
余りにも遠すぎる、あの光を。手に入らぬと知っていたから余計に貴く思えた。
だからこそ手を伸ばしたのだ、しかしそれは罪だった。
遠くに見えた幻に過ぎなかったのだろう。それでも私は貴方の傍に居たかった。
「ガレッド?」
その声に私はハッとする。蝋燭の火が途切れてしまった。お嬢様は暗闇を怖がる。
そんなこと、お仕えした時から知っていたのに・・・私は執事失格だ。
「如何なさいました?お嬢様」
「悪夢を見たの。皆が私を罵るの、そして暗闇に閉じ込められた。ねぇガレッド。私が皆に何かした?」
お嬢様は毎晩、悪夢にうなされる。天使に愛された子なのにどうして?
「ご心配無く、私が傍に居ります。そのような事は私が許しません」
蝋燭に火を灯す。憂いを帯びた、お嬢様の顔がよく見える。
可哀想なラディア様・・・私さえ居なければ。
自責の念に苛まれる。
私は・・・私が、お嬢様を不幸にしている。神の怒りを身に受けている。
「良かった。それなら安心して眠ることが出来る。傍に居てね、ガレッド」
「はい。勿論」
「おやすみなさい、ガレッド」
「おやすみなさいませ、お嬢様」
今度は火を絶やさないようにしなくては。
睡魔と闘いながら見る蝋燭の火に一瞬、お嬢様が見えたような気がした。
お疲れ様でした。まだまだ、これは始まりに過ぎません。
今回の主役は主に執事でしたが状況に応じて、そこは変えていこうと思います。
執事ガレッドとお嬢様ラディアの関係としてはやはり主従関係です。
しかし、信頼関係は厚く互いに親しい間柄です。
詳しいことは後々、判明しますので今は口を閉ざしておきます。
読んで頂き嬉しく思います。気になる方は引き続き宜しくお願い致します!