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できるVRMMO ガチプレイヤーの作り方  作者: れんこん
第一章:はじめてのVRMMO
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第6話 初クエスト達成

 受付のおねえさんと別れたあと、アントニーに連れられて玄武門の近くまで転移した。アントニーの説明によると、王都の中心街は高い壁に囲まれており、出入口は東西南北の四つあるとのことだ。そのうち北にあるのが玄武門。名前は四神の神話にちなんでいるらしい。


「門を出る前にマーサルの能力を確認させてくれ。己を知ればなんとやらってな。ステータスを見せてくれるか」


 ステータス画面を呼びだして表示させる。通常は他人には見えない画面だが、本人の許可があれば見せることもできるみたいだ。アントニーに許可を出すと、画面をのぞき込んできた。


【ステータス】

 名前:マーサル

 種族:人族

 レベル:1

 スキルポイント:上限5P/使用5P

【スキル】

 剣術(3P)Lv1、武器鍛冶(2P)Lv1

【装備】

 右手武器:木刀

 胴 :チュニック

 脚 :ブリーチ


「とりあえず、野うさぎ退治には問題なさそうだな。アイテムボックスにはなにかあるか?」


 そう言われてアイテムボックスを確認してみると、剣や槍やらの各種武器にHPとMPの回復ポーションが入っているようだった。この武器なんかはおそらく、じいちゃんが言ってたパッケージ特典アイテムなんだろうな。所持品の内容をそのままアントニーに伝えるのは面倒なのでアイテムボックスのリスト表示をアントニーにも見えるように設定っと。アイテムボッスクのリストを表示させると先ほどと同じように画面をのぞき込んできた。


「一通りの武器は揃ってるじゃないか。どれも木刀よりはマシだな。剣を使うなら装備をビギナーソードに変えるんだ。やり方はアイテムを装備したいと念じるだけだ。分かるな?」


 装備を変えようと念じると帯刀していた木刀がビギナーソードに変わったようだ。


「これで装備もバッチリだな。それとこれを渡しておくぜ」


『NPC:アントニーからトレードの申し込みがありました。受諾しますか?』


「HPポーション・微が10個分だ。初めてこちらに来た、次元の旅人用の支給品だから遠慮するなよ」

「ありがとうございます。遠慮なくいただきます」

「危なくなったら早めに飲むんだぞ。次元の旅人はHPがゼロになっても神殿で復活できるだろうが、ペナルティはあるからな。これで準備も出来たようだし外に出てみるか。そろそろ戦いたくてうずいてきただろう?」


 ニヤリと笑うアントニーの後について王都を囲っている壁の門をくぐっていく。壁は10メートルほどの厚さがあり、通路の上から青い光が照らされている。これってやっぱり、ただの照明ではなさそうだよね。今までの感じからすればおそらくこれは……。


「この上から照らしている青い光って、ひょっとして何かを確認してます?」

「よく分かったな。セキュリティチェックみたいなもんだ。悪いことしていないなら気にする必要はねぇぞ」


 やっぱり予想通りか。便利なファンタジー世界ですね!俺の中のファンタジーのイメージがどんどん壊されていく。剣と魔法のファンタジーってもっと無秩序な世界をイメージしてたのだけどな。高度に発達した科学は魔法と区別がつかないとは誰がいったセリフだったか。


 門の外に出ると、そこには農場が広がっていた……なんてことはなく、街並みが続いている。畑を荒らす野うさぎさんはどこ?


「なあ、アントニー。畑を荒らす野うさぎがいそうもないんだけど?」

「ここは王都だ。中心街の門を出たすぐ近くに畑なんてあるわけない。田舎の村じゃねぇんだぞ。このまま街を抜けてちょい先にいけば農場が広がっているさ。そこまで走っていくんだ」

「走るっていってもそこそこ距離ありそうだぞ。王都内みたいに転移紋とかないの?」

「ない、甘えるな。さあ、ついてこい! 走ればわかる」


 走り出したアントニーの後を追って走ってみる。VR世界だしいくら走っても疲れないし息切れもしない。いつまでも同じスピードで走れる。VR世界は楽でいいよな。これだとあっという間に農場に到着できる。


「あー、やっぱりここも混んでるか」


 つぶやいたアントニーが眺める先には、畑が一面に広がっていた……のだが、プレイヤーと思われる人が走り回っている。野うさぎを見つけると一目散に駆け寄り、攻撃を開始するプレイヤー達。


「どうする? あれに混ざって取り合うか? 俺は案内人だから判断は任せるぞ」

「せっかくここまで来たんだし、やりますよ」

「お、やるのか? ならやるまえにレベルシンクするぜ」

「レベルシンク?」

「マーサルと俺にはレベル差があるんだよ。俺のほうが強いからな。このまま一緒に戦うとマーサルに経験値が入らないんだよ。だから俺がマーサルの合わせることで経験値を稼げるってわけだ。便利だろ? よし、シンク完了。これでいつでもいけるぜ」


 よーし、やるぞ! 他のプレイヤーが走り回っている畑の中に向けて走り出す。しばらく走って探してると野うさぎ発見! 攻撃開始……ってあれ? 今まさに攻撃しようとしていた野うさぎが、急に別の方向に走り出して行った。その先を見ると弓を持ったプレイヤーが矢で野うさぎを攻撃しているようだった。


「ぷっ、くく、残念だったな、どうやらあちらの弓野郎に先に取られたようだな。まあ気を落とさずに次を狙おうや、ぷくく。」

「ちょっと、なに笑ってるんですか!」

「いや別に? 先に取られて呆然としているマーサルさんがおかしかったとか、顔を真っ赤にして恥ずかしがっているマーサルさんがカワイイとか、そんなこと思ってないですよ? 男なら小さいことは気にするな。つぎがんばればいいんだよ。ドンマイ!」

「絶対思ってるだろ! アントニーも手伝えよ、取り合いなんだからさ」

「それがなー、俺は案・内・人だから獲物に先に手を出しちゃいけないんだなー、あー残念だなー、手伝いたいのになー」


 ニヤニヤしながら、棒読みで答えるアントニー。こいつ、からかってやがるな。ゲームキャラのくせに生意気な! これだから最近のAIはたちが悪いんだ。変なところばかり人間くさくしやがって。

 もういい、こいつは取り合いに関してはあてにできない。俺が何とかしないと。


 再び走り出し野うさぎを捜索する。よし、いた。今度こそやってやるぜ。

 武器が出るように念じるだけで、武器が右手におさまる。

 野うさぎに向かってまっすぐ剣を振り下ろすと、攻撃を避けようとした野うさぎに対応して、振り下ろした腕の動きの軌道が勝手に変わり、野うさぎに剣が吸い込まれるような感じで攻撃が当たった。もし、動きが変わらなければ避けられていただろう。


「なるほど。これがナビゲータが言っていた、自動的に動作が補正されるってやつか」


 この世界の野うさぎは好戦的なのか、逃げもせずに体当たりを俺を狙ってくる。避けようとしたがダメージを喰らってしまった。


「くっ、避けるのは自動補正きかないのかよ」


 体勢を立て直し何度か剣を野うさぎに当てると、野うさぎは倒れ光の粒子となって消えていった。

 同時にアナウンスが流れてくる。


『野うさぎを倒しました』

『マーサルは5ポイントの経験値を獲得。うさぎの肉を手に入れた』


 一息ついていると、後からアントニーが声を掛けてくる。


「おめでとう! なかなかいい感じだったぞ」

「ありがとう。っていうかアントニー、見てるだけだったよね」

「野うさぎ相手だったし余裕だったろ? 安全マージン取りまくってる初戦闘で、手を出すほど俺は野暮じゃねえよ。さあ、つぎだつぎ! もたもたしてると日が暮れちまうぜ」


 その後はアントニーも戦闘に参加して、順調に野うさぎを倒していく。HPが減ったら早めにポーションを使うように指導されて、危なげなく狩りができている。野うさぎ自体は弱いんだが、他のプレイヤーとの取り合いが激しい。見つけて攻撃しようとしても、弓や魔法といった遠隔攻撃できるプレイヤーが先にかっ攫って行くことが多く、取り合いに負けることが多い。こうなってくると遠隔攻撃できる奴がうらやましい。弓はアイテムボックスの中に入ってあるが矢がないし、矢があったとしてもスキル自動補正もなしに当てられる自信はない。

 取り合いに勝ったり負けたりしながら9匹目を倒したところで、アントニーが話し掛けてくる。


「次が最後だな。最後に必殺技の使い方を教えてやる」

「必殺技? そんなものがあったのか」

「ああ、必殺技のゲージを満タンにすると必殺技が使えるんだ。使ったらゲージがゼロになっちまうからな。使いどころは考えるんだぞ」

「最後にゲージが貯まるとか、なかなかいいタイミングだな」

「とっくに貯まっていたが、最後の楽しみのために黙っておいたぜ」

「てめぇぇぇ」

「そう怒るなって、ちゃんと教えてやるからよ。HPとMPが表示してある場所の下に、もう一本ゲージがあるだろう? それが必殺技のゲージだ。マーサルが使える必殺技は今のところ一つだけ、剣術Lv1のスキルがあれば誰にでも使えるウインドブレードだ。使い方は簡単。モンスターに走りながら近づいて『必殺! ウインドブレード』と叫ぶだけだ。な、簡単だろ? 最後だし決めちまいな!」


 そして見つけた最後の10匹目。走りながら近づいたところで野うさぎに向かって叫ぶ。


「必殺! ウインドブレード」


 叫ぶと同時に勝手に身体が全自動で動き、必殺技の体勢に入る。高くジャンプしながら剣に風を纏い、野うさぎに素早く二連撃。野うさぎは避ける間もなく光の粒子となって消え去った。


『クエスト名:畑を荒らす野うさぎ退治を達成しました』


 必殺技というだけあって威力もあるし、アクションも派手になっているから爽快感はあるな。ちょっと気持ち良かったかも。


「決めたようだな。かっこよかったぜ! クエストも達成だな」


 サムズアップし、笑いながら近づいてくるアントニー。


「無事クエスト達成のようです。ありがとうございました。最後の攻撃、必殺技というだけあって強力な技ですよね。使うのに叫ぶのはちょっと恥ずかしいですけど」

「実は念じるだけでも使えるんだけどな。でも叫ぶと気持ち良かっただろ? バッチリ決まってたぜ。ガハハッ!」

「……」


 駄目だこいつ……早くなんとかしないと……。次の犠牲者が出る前に。

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