第15話 タイトルは大事
これで第一章完結です。もう一話分、今日中にアップします。
「おい、マサル! ちょっとこい!」
ログアウトした後、風呂入ったりテレビ見たりしてのんびりしてると、じいちゃんから呼び出しの声が掛かる。バレタのかな、アレ。
話題性のある出来事だったしな。じいちゃんが知ることになっても不思議じゃない。悪いことしてバレたわけじゃないから平気だけど。
リビングに顔を出すと、ネットを見ていたじいちゃんからURLが送られてきたので見てみると……。
『【KFVRO】冒険者ギルド前広場にて修羅場発生? 男と男の真剣勝負! 一人の女を巡る熱き戦いか?』
「なんだよこれ!」
「まとめサイトの記事だな」
「そういうことじゃなくて、何なんだよこのタイトルは!」
「なかなかいいタイトルじゃのう。気になってクリックしてしまったわい」
「たしかに見てしまいたくなるタイトルだけど……嘘っぱちじゃねえか」
「記事の内容はイカれた男に絡まれた少女を庇った話になっとるぞ。掲示板の内容をそのまま転載しているだけだが」
「それでもひでえ。『?』使えばいいってもんじゃねえぞ」
せっかく回復しかかっていた心のライフがごっそり削られたぞ、どうしてくれる。話題になるのは覚悟してたけど、これは想定してなかった。
「そういうがのう……タイトルは、タイトルは大事なんじゃ……」
じいちゃんがぶつぶつとつぶやいている。何やらタイトルにすごい思い入れがあるようだ。
「それはさておき、記事はあまり気にすることはないぞ。掲示板もみたがほとんど好意的な意見だったからな。むしろよくやった」
「え? ああ、うん」
そう言われると素直に嬉しい。たとえ身内びいきの発言だったとしてもな。あれで良かったのだろうかと心のどこかで迷っていたんだ。
「ところでな、衛兵に連れていかれた後はどうなったんだ? 詳しく聞かせろ!」
ワクワク顔で聞いてくるじいちゃん。興味津々だ。
「おもしろくない話だぞ。詰所に連れて行かれた後、転移紋で薄暗い部屋に放り込まれたんだ。しばらく経つとGMが現れて「ちょっと待った!」」
勢いよく話に割り込んでくるじいちゃん。
「まさか説教部屋でGMとあったのか?」
「説教部屋? 出入口もなにもない部屋だったけど、あれ説教部屋って言うの?」
じいちゃんが固まっている。どうしたんだ? おーい。あっ! 再起動した。
「MMO歴50年以上のワシでさえ説教部屋に行ったことないのに、MMO初日で説教部屋でGMに会って無罪放免で帰ってくるだとぉ。大物じゃのう、恐ろしい子!」
「そんなに珍しい?」
「そんなMMOデビューする奴、聞いたことないわ!」
「別に狙ったわけじゃないんだけどな」
「狙ってやったならそれこそ恐ろしいわい」
ならこれは秘密にしないとな。またおもしろおかしく騒がれてしまう。
「まあいいや。ちょっと休みたい気分だからプレイを控えることにするよ。明日、明後日の土日はログインしないつもり。一応伝えておくよ」
「それがいい。気分が乗らない時に無理に 遊んでもつまらんからな。クランのことは気にするな」
「土日はベッドでごろごろしてのんびり過ごすよ。特に予定もないし、うん、それがいい」
そう言い残し、マサルは部屋に戻っていく。
どうやら土日は怠惰に過ごすことを決めたマサルであった。
この作品の場合、タイトルうんぬんの前に、
・主人公が強くない
・女の子の登場率と会話率が低い
・戦闘シーンは5話と、12話のちょこっとだけ
好きなように書いていたらこうなりました。
こんな作品でも総合日間ランキングのベストで50位以内に入れたのは嬉しい。
皆様に感謝です。




