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できるVRMMO ガチプレイヤーの作り方  作者: れんこん
第一章:はじめてのVRMMO
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第12話 バザー騒動

 冒険者ギルド前の広場では、プレイヤー達がバザーを開いていた。広場一帯はバザー市場と化してる。この広場は人通りが多いし、売るほうにも買うほうにも便利な場所だ。

 ルールがないのにもかかわらず、整然と並んで出店しているバザーを見ると、こんなところでも民族性が発揮されるんだなと感心する。

 広場を見渡すと、見回りきれないほどの出店数ではなさそうなので、一件ずつあたっていくこと事に決めた。バザーを見回るのって、なぜかわくわくするんだよな。


 まずはすべてのバザーを見回る。買いたくなってもひとまず我慢だ。無駄金は使えない。店主の応対、品物、値段などをチェックしてメモに書き込んでいく。


 一通り見回ると傾向がつかめてきた。一番売っている物が多いのはモンスター関連素材だった。俺の持っている野うさぎ関連の素材売りも多かった。あれだけ狩られてちゃねぇ……。続いて多かったのは生産装備品だ。鍛冶や裁縫関連の装備が多い。


 装備品を比べれば少ないが、ブロンズインゴットやカエデ材といった中間素材を売っている店もいくつかあった。カエデ材だけにしぼると、単価で100G~500Gの値がついている。バラ売りとまとめ売りで単価が違っていたりして、売る側も工夫しているようだ。


 カエデ材を売っていた店は三つ。まとめ売りを買うほどお金に余裕がないので、単品単価のみで比較する。


 職人風の愛想のない親父。単価500G。

 弓を持った狩人風の兄ちゃん。単価200G。

 杖を持った魔法少女風のかわいい女の子。単価300G。


 こんなの男なら魔法少女選ぶに決まってるだろう。常識的に考えて……。

 これをきっかけに常連客になって、フレンドになりゆくゆくは……。なーんてことがあるかもしれないしな。

 だがしかし、悲しいことに今は金欠なのである。「まとめ売りのほうが安いですよ」とか勧められて、見栄張って買ってしまったらどうしよう……とか妄想してしまうのである。


 現実は厳しい。お金もそうだが、店と客の関係に過大な期待をしてもろくな事は無い。妄想はほどほどにして、最安値の狩人の兄ちゃんのところで買うとするか。


「先ほども来てたな。今度は買っていくかい?」


 狩人の兄ちゃんが話し掛けてくる。向こうも客をチェックしていたか。


「カエデ材を2本」

「まいどありぃ! これ買うって事はお客さんも生産者かい?」

「ああ。ブロンズピックを作るのに必要でね」

「武器鍛冶か。ブロンズの矢尻は持ってないかい?」

「持ってないな。ブロンズインゴットならあるが」

「ブロンズインゴットで矢尻は作れるぞ。今から作ってきてくれるなら、100個まとめて250Gで買うけどどうだい? 品質は星一つでいい。300個ぐらいまでなら買うぞ」


 ブロンズの矢尻は、たしか100個400Gから500Gほどでバザーに出てたはずだ。


「ちょっと買い取り価格は安くないですか? 他のバザーだと500ぐらいでしたよ」

「その価格だとちょい高いんだよな。安いのは売れちまったからさ。その価格帯のしかバザーに残ってないんだ。100個250で取り引きしてくれるなら、今後も材木をお手頃価格で提供するぜ。ってのはどうだい?」


 今後に繋げるビジネスってわけか。いいねぇ、こういう話しは嫌いじゃない。


「わかりました。それで手を打ちましょう。ではさっそく作ってきますね」


 生産者ギルドに向かい、ブロンズの矢尻のレシピを調べる。

 ブロンズインゴット1個で100個の矢尻を製作できるようだ。

 星一つのインゴットを使って、製作速度優先で矢尻を製作する。

 インゴットを3個使用し300個完成。狩人の兄ちゃんに持っていくか。



―――――



「おい、そりゃないだろ。話しがちげえじゃねえか!」


 広場に戻ると、突然荒々しい男の声が聞こえてきた。

 声が上がったほうを見るとバザーの店主と客が揉めている。

 バザーの店主は……あの魔法少女だ。


「全部買ったらパーティに入るって言ってたじゃねぇか!」

「そんなこと言ってません。売れるまでバザーしたいから、パーティをお断りしますと言っただけです」

「それは全部買ったら入るって言ってるようなもんじゃねえか!」

「違います! 脳内妄想全開で勝手に勘違いしただけでしょう」


 次第にヒートアップしていく二人。

 広場の皆が注目し人が集まってくる。

 会話の内容から、男の支離滅裂さが伝わると、周囲からヤジが飛ぶ。

 「あれ、ヤバイんじゃないの?」、「俺、GMコールするわ」等の声も出だし、広場は騒然となっていく。


「ふざけんな! 金返せ!」

「返すわよ。買ったアイテム返して。そして二度と関わらないで!」


 そう少女が叫ぶと、ついに我慢しきれなくなったのか、男は顔を真っ赤にしてぶち切れた。剣を構え少女に襲いかかろうとする。少女は華麗に一撃目を避けたが、男は収まらず二撃目を繰り出そうとする。

 俺はとっさに剣を装備し、少女をかばえるように男との間に割り込み、剣と剣で打ち合った。


「「「「「あっ!」」」」」


 周囲が驚きの声を上げたと同時に、システムメッセージが響き渡る。


『警告:プレイヤーへの攻撃を検知しました。許可のないプレイヤーへの攻撃はハラスメント行為に該当します』


「そこまでだ!」


 現場に衛兵が到着する。屈強な男達が俺達二人を囲む。

 えっ! 俺達? あれれ?

 戸惑っていると、隊長とおぼしき人物に警告される。


「騒いでいたのはお前達か。双方、剣を納めよ! 抵抗すれば公務執行妨害とみなす」

「うるせぇ!」


 すでに理性を失っていた男は叫び声を上げ、衛兵にも攻撃し出した。しかしすぐに剣を叩き落とされて、地面に押さえつけられ拘束される。

 隊長は拘束された男を確認すると、俺のほうに向き直った。


「お前も抵抗するかね?」

「ちょっと待って下さい。誤解です、私はそこの女の子を助けようと――」

「詳しい話しは詰所で聞こう。剣を納めよ! それとも、ああなりたいのかね?」


 隊長は、拘束されて虚脱状態の男を指さす。

 俺は首を横に振り剣を納める。その様子を見た衛兵が俺に近づき、左右から腕を掴む。このまま詰所まで連行されるようだ。


「やっちまったなー」

「手を出したらやばいっしょ」

「かっこよかったわよ。くすっ」

「勇気はかってやるぜ」

「誤解だって俺からも言ってやるよ」

「女の子は俺に任せろー。安心して逝ってきな!」


 連行され広場から出るまでの間に声を掛けられる。

 もう恥ずかしくて顔を上げられない。

 殺せ!今すぐ俺を殺してくれ!

 それと最後の奴、お前は死ね!


 あと、狩人の兄ちゃん……ごめんなさい。

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