第五章【1】
「そのレストランの料理が美味しいかそうでないか知りたいならね……」
そう言いながら、ショウは、手馴れた手つきで、たまねぎをみじん切りにしている。
「オムレツを作ってもらうといいんだよ。オムレツは、シンプルな料理だけど、でも、それだけに、ごまかしがきかないんだよね~」
信じられないことだけど、ワタシは、今、ショウの部屋にいる……
翌朝、遅い時間にワタシ達は、ホテルを出た。
朝食と昼食、どちらも、中途半端な時間で、ブレックファーストの時間は、終了し、レストランは、まだ、クローズしていた。
駐車場に向かっている時、なんか、盛大にワタシのお腹の虫が、
「ぐぅぅ~」
っと鳴いた。
ショウは、
「ん?」
って感じにワタシを見た。
「ちょっと、お腹すいちゃったみたい……」
ワタシは、うつむいて小さくそう言った。
カッコ悪ぃ……最悪だ。みるみる顔が赤くなってゆく。
「はは……」
ショウは、なんだか、嬉しそうに笑った。
「じゃあ、僕の家においでよ。何も出来ないけど、とりあえず、なにか作るよ」
「え?」
「ああ……ゴメン。もし、時間あればだけどね」
私の頭では、なんだか、盛大なファンファーレが鳴り響いていた。
競馬のおっきなレースとかで流れる奴だ。
「え?、え?時間ならありますけど……本当にいいんですか?」
「うん!!もちろんだよ」
こうして、ショウの乗る真っ赤なスポーツカーは、私をショウの自宅へと導いてくれることとなった!!