第十章【6】
気がつけば、ベット脇で三人の男が笑いながら楽しげに話していた。
先ほどの医師と痩せて背が高い男、あと一人は、かなり老齢な背の低い男だった。
「料金を前払いでもらっておりますので、身の引き締まる思いです」
医師が丁寧にそう答えると、痩せた男が、老人に向かって、日本語とは違う言葉で話しかけた。
老人は、大きな声で笑い、痩せた男に向かって怒鳴るように話しだした。
痩せた男が通訳する。
「大丈夫、私は、あなたの腕を信頼してますから」
痩せた男は、日本語でそう答えたが、日本語にしてはイントネーションがおかしかった。
男たちのやり取りは続いていたが、ワタシの耳には、まるで言葉として入ってはこなかった。
ショウは、ワタシの行く末を知っていたんだ。
だから、ワタシを殺そうと……
涙は、不思議と出てこなかった。
ワタシは、ずっと天井を眺めていた。
むき出しの蛍光灯の端っこが、微かに黒くなっていた。
相変わらず、部屋には、暖かい光が満ち溢れていた。
それは、夢にまでみたうららかな太陽の光だった。
『ショウ!』
ワタシは、喉に焼けるような痛みを感じながら、それでも、ショウの名前を叫んでいた。
「ゼゥ……」
どんなに声を振り絞ろうと、『ショウ』と発音することは、叶わなかった。
「ゼゥ」
「ゼゥ」
「ゼゥ」
ワタシは、天井を見上げながら、ずっとその言葉をつぶやいていた。




